第19回ショパン国際ピアノコンクールの第3次予選が、10月14日から始まりました♪
このブログでは、予備予選・第1次予選・第2次予選のときと同じく、すべての演奏者の感想や印象を綴っていきます。
あくまで個人の感想ではありますが、演奏の魅力や気になったポイントをできるだけ丁寧に記録していくつもりです。
世界最高峰の舞台で繰り広げられる若きピアニストたちの演奏を、ぜひ一緒に楽しんでいただければ嬉しいです。
今回は、10月14日開催の1日目の感想です♪
予備予選:2025年4月23日(水)〜2025年5月4日(日)
予備予選通過者発表:5月6日(火)17時30分(現地10時30分)配信あり
開会記念コンサート:10月2日(木)
1次予選:10月3日(金)〜10月7日(火)
2次予選:10月9日(木)〜10月12日(日)
3次予選:10月14日(火)〜10月16日(木)
本選:10月18日(土)〜10月20日(月)
上記は全て2025年4月23日時点での情報です。
変更となる場合がありますので必ず公式サイトをご参照ください。
この記事を書いている人

アガサ
このブログの運営者及び管理人
3歳からピアノを始め、クラシック音楽歴は30年以上。結婚・出産を経て育児の合間にピアノを再開し、念願のグランドピアノも迎えました。
現在はピアノ教室向けのグラフィックデザイナーとして、全国の先生方をサポートしています。
ピアノとクラシックをこよなく愛する主婦が、音楽やピアノにまつわる情報を気ままに発信中です♪
第三次予選の課題曲
第三次予選の課題曲は、以下の通りです。
以下の①〜③を、45~55分のプログラムにまとめる必要があります。
- 以下のピアノソナタから1曲を選び演奏
・ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」
・ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
※第1楽章の提示部の繰り返しはありません - 以下のマズルカ集から1組を選び演奏
・Op.17、Op.24、Op.30、Op.33、Op.41、Op.50、Op.56、Op.59 - 上記以外の任意のショパンのソロ作品
第2次予選ではおよそ40〜50分のプログラムでしたが、第3次予選ではそれよりも長めの構成となります。
曲の重複ができないため、第2次予選ですでにソナタ(第1番以外)を選択した方は、もう一方の作品を演奏する必要があります。
今回の第2次予選では第3番を選択した方はいませんでしたが、第2番を選んだ方が数名いらっしゃったので、その方々は必然的に第3番を演奏することになりますね。
マズルカも同様です。
個性が出てくるのはやはり「マズルカ」と任意のソロ曲。
どのマズルカ集を選ぶか、そして残りの時間にどのような自由曲を組み合わせてくるか。
ここで各ピアニストの音楽観や方向性がより明確に見えてくると思います。
今回も第2次予選に引き続き、さまざまな個性が光るプログラムとなりそうで楽しみですね!
ショパンのマズルカは、単なる民族舞曲の模倣ではなく、ポーランドの魂そのもの。
でも、日本にいる私たちは「マズル」や「クヤヴィヤック」「オベレク」などの踊りを、実際に見たことも踊ったこともほとんどありません。そのリズムの「揺れ」や「呼吸」を、どう感じればいいのかが分からないのです。
ショパンの時代のポーランドでは、マズルカは日常の中にあり、村の広場で、結婚式で、宴の最後に――誰もが足を鳴らして踊り出すような、生活に根ざしたリズム。
ショパンはそれを、ピアノという“都会の楽器”の中に閉じ込めて、祖国への郷愁と誇りを込めたんですよね。
私たちがマズルカを聴くときにできるのは、
リズムの中にある「息づかい」や「心のうねり」を感じようとすること。
完全に理解することはできなくても、“そこに何かある”と感じ取る耳を持つことが、きっと大事なのだと思います。
1日目 昼の部 感想
Yang (Jack) GAO(中国)17:00
使用ピアノ:Shigeru Kawai
- ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
- 4つのマズルカ Op.33
- 即興曲第3番 変ト長調 Op.51
- 子守歌 変ニ長調 Op.57
第3次予選のトップバッターは、予備予選から第2次予選まで安定した実力を見せてきた Yang (Jack) GAO さん。
彼の演奏にはいつも、静かな自信と誠実さを感じます。
1曲目は「子守唄」。
第2次予選で同曲を演奏したZhexiang LIさんとはまた異なり、GAOさんの音はより可憐で、どこか夢の中をそっと覗くような優しさがありました。
続く「即興曲第3番」でも、流れるようなフレーズの美しさと自然な歌心が印象的。
そして「マズルカ Op.33」では、全体的に端正で上品な印象を受けました。
特に有名な第3番・第4番では、派手さよりも繊細なタッチを重視した清潔感のある演奏。
最後の「ピアノソナタ第3番」も、技巧を誇示することなく、一音一音に誠実に向き合う姿勢が伝わってきました。
全体を通して、華やかさよりも“正直なショパン”を聴かせてくれた印象です。
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Eric GUO(カナダ)18:00
使用ピアノ:Steinway & Sons
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
- 3つのマズルカ Op.59
- 即興曲第3番 変ト長調 Op.51
- スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
- バラード第3番 変イ長調 Op.47
「マズルカ Op.59」は、さすがとしか言いようがありません。
聴く人を飽きさせない、色彩豊かな音のパレット。
しっかりとした重みを保ちながらも、軽やかに舞うようなリズム感が心地よく、決してくどくならない。
本当に素晴らしいマズルカでした♪
続く「ピアノソナタ第2番」では、特に第3楽章が印象的。
中間部の繊細で深みのある音の世界は、彼ならではの持ち味が光っていました。
全体的に、派手さよりも“語るように歌う”タイプの演奏。
静かな中にも強い信念を感じる、品格あるショパンでした。
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David KHRIKULI(ジョージア)19:25
使用ピアノ:Steinway & Sons
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
- 3つのマズルカ Op.56
- 即興曲第3番 変ト長調 Op.51
- ワルツ第5番 変イ長調 Op.42
- ワルツ第3番 イ短調 Op.34-2
- スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54
第2次予選で心を震わせる演奏を聴かせてくれた David KHRIKULI さん。
あの日からずっと、第3次予選での彼の登場を楽しみにしていました♪
プログラムは盛りだくさん!
まずは「マズルカ Op.56」から。
なんて素晴らしいマズルカでしょう…。
繊細な p(ピアノ)、絶妙なテンポの揺らぎ。
まるで小さな物語を一つずつ紡いでいくような演奏。
ショパン自身がこのOp.56を「小さな物語」と呼んだと言われますが、まさにその通り。
3曲がまるでひとつの詩のように繋がっていました。
特に、最後のOp.56-3。息を呑むほど美しい。
まるでバラードを聴いているかのような満足感。
ポーランドの聴衆がこのマズルカをどう感じたのか、とても気になります!!
続く「ピアノソナタ第2番」は、第1楽章から彼らしさ全開。
第2楽章も決して誇張せず、自然体のまま。
そして第3楽章。静寂の中に溶けていくような囁きの音。
これまで聴いてきた“葬送ソナタ”の重苦しさとは違う、どこか透明で穏やかなイメージ。
ショパン自身の胸の内なのか、あるいはKHRIKULIさん自身の心の声なのか、そんなことを考えながら聴き入りました。
その後の「即興曲第3番」「ワルツ第5番」「ワルツ第3番」も、軽やかで煌めくような音。
粒立ちが本当に美しく、ひとつひとつの音が光を帯びて踊っていました。
そして最後の「スケルツォ第4番」。
エネルギー、構成力、詩情。すべてが素晴らしい。
彼の中に流れるショパンが、ここでひとつの頂点に達したように感じました。
第2次予選に続き、第3次予選でも彼は多彩なショパンの世界を見せてくれました。
どの曲にも“作為”がなく、自然体のままに溢れ出る感情と真摯な音楽への愛が感じられます^^
ありがとう、KHRIKULI!!
あなたのショパンは、心の奥底に静かに響き続けています。
そして、どうかファイナルでまた会えますように♪
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1日目 夜の部 感想
桑原志織(日本)0:00
使用ピアノ:Steinway & Sons
- ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
- 4つのマズルカ Op.33
- スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
1日目、夜の部は早くも桑原さんの登場です!
1曲目は「スケルツォ第3番」から。
なんて美しいスケルツォ。
キラキラと星が降り注ぐような音色。
完璧なコントロール。
桑原さんの“優しく切ない、繊細で柔らかな音”が胸に沁みました。
やっぱりこの音が大好きです。
続いて「マズルカ Op.33」。
Op.33-1,2は華やかな幸福感のある音色で素敵♪
Op.33-3はマズルカというよりワルツ的要素が強いのかな?という印象を持ちましたが、どうなんでしょう?
Op.33-4は独特のリズム感を揺らしながら表現されていて、一番印象的!
桑原さんらしい、華やかでありながら深みのあるマズルカ。
本当に素敵でした。
ただ、ひとつ前に演奏した KHRIKULIさん のマズルカと比べると、どこか「日本人らしさ」を感じる部分もありました。
誠実で真摯な演奏で、私は大好きなのですが、審査員やポーランドの方々にはどう聴こえたのか、とても気になるところです。
ショパンがマズルカを弾いたとき、それは「彼にしか演奏できない風変わりな音楽」と評されたそう。
その“風変わり”とは、どんなニュアンスだったのか……
確かな映像や音源が残っていたらどんなに良かったかと思わずにはいられません。
ショパンが弾いたマズルカの精神をどう表現するか。
ここが大きな分かれ道になりそうで、正直少し怖くもあります。
冒頭にも書きましたが、私はピアノを十数年習ってきた程度で、マズルカに関しては知識が浅いのが正直なところです。
ポーランドの本場の踊りを学んだわけでもなく、体感的に理解しているわけではありません。
だからこそ、純粋に“音”から感じ取るしかない。
どうかこの誠実な音楽が、良い方向へと届いてほしい――そう願います。
最後は「ピアノソナタ第3番」。
第1楽章から、なんて素晴らしいの……!
これが、桑原さんの真骨頂ですよ。
中間部の多幸感に涙。
まさに第1次予選の「バラード第4番」を思い出すような、芯のあるのに柔らかく、包み込まれるような音。
ショパンの“温かな思い出”にそっと触れているようでした。
これが彼女の魅力。
第2楽章は、流れるように美しく、まるで風が通り抜けるような軽やかさ。
第3楽章、まるで幻想の世界。
第4楽章は、ここまでの全ての感情が、優雅に解き放たれる瞬間。
激しさではなく、美しさの中にある解放。
桑原さんらしい、品格のあるフィナーレでした。
余談ですが、夜の部から配信の音質が少し変わったように感じました。
なんか音量が小さくなかったですか?
前の方が自然な響きだったので、できれば戻してほしいな……。
やっぱり、生で聴きたいよー!!!
そう強く思いました(涙)
素晴らしいステージでした!!桑原さん、ありがとう(涙)
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Hyo LEE(韓国)1:00
使用ピアノ:SigeruKawai
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
- 3つのマズルカ Op.59
- バラード第1番 ト短調 Op.23
- スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
さぁ、LEE兄弟の弟・Hyoさんの登場です!
オープニングは「バラード第1番」。
華やかに、堂々と決めてくれましたね!
続く「マズルカ Op.59」。
この曲集は予備予選でも Op.59-1 と Op.59-3 をよく耳にしたので、「お久しぶり!」という感じです。笑
Op.59-1は、美しく流れるような、華やかで品のある音色。
Op.59-2は、軽やかに舞うような音。リズムを大きく揺らしながら、意識的にマズルカの独特な“うねり”を表現しているのが伝わってきます。
素敵なマズルカでした!!
彼らしい若々しさと、音楽的な成熟がうまく融合したステージ。
お兄さんと揃ってファイナルに進めたら…本当に夢のような光景ですね!
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Hyuk LEE(韓国)2:25
使用ピアノ:Steinway & Sons
- ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
- 4つのマズルカ Op.41
- 即興曲第2番 嬰ヘ長調 Op.36
- バラード第3番 変イ長調 Op.47
LEE兄弟のお兄さん、Hyukさんの登場です♪
個人的なお話を先にすると…
第1次予選では「素晴らしい!」と思いつつも、どこか遠くに感じてしまっていた彼の音楽。
けれど第2次予選では打って変わって、心にズシンと響く深い演奏で魅了されました。
だからこそ第3次予選では、どんな音楽を聴かせてくれるのか、とても楽しみにしていました^^
1曲目は「即興曲第2番」。
まるで夢の中にいるような幻想的な音色。
光がやわらかく揺らめくような、美しい世界が広がります。
続いて「バラード第3番」。
音の宝石箱のよう。(彦摩呂風)
キラキラと輝く音、意志を感じる力強い音、色鮮やかに変化していく音。
それらが次々と流れ出すようで、とても美しく、荘厳でした。
次の「マズルカ Op.41」。
Op.41-1 —— この曲だけがマヨルカ島で作曲された作品。哀愁漂う響きが見事に表現されていました。
Op.41-2 —— 華やかで品格あふれるマズルカ。
Op.41-3 —— なんておしゃれなんだろう!マズルカがこんなにも洗練された音楽になるなんて…。
Op.41-4 —— すばらしい!これぞマズルカ、という演奏。
ショパンの故郷・ポーランドに在住されているLEE兄弟。
どれほど研究を重ね、どれほど努力を積み重ねてきたのだろうと思わず考えてしまうほど、Hyukさんのマズルカは本当に素敵でした。Bravo!!!
最後は「ピアノソナタ第3番」。
全楽章非常に良かったのですが、特に第4楽章が圧巻。
繊細で美しい音色と、対照的に情熱的でダイナミックな音のエネルギー。
そのコントラストに震えました。素晴らしい!!!
そして、終演後のLEE兄弟の抱擁…あれはもう毎度のことながら反則ですね(涙)
間違いなくファイナル進出だと思います。
そして楽しみなのが、ファイナルでのコンチェルト!
Hyukさんは第1番ではなく「第2番」を選択されているとのこと。
あの音楽性でまさかの第2番を!!
今からとても楽しみです♪
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Tianyou LI(中国)3:20
使用ピアノ:Shigeru Kawai
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
- 3つのマズルカ Op.59
- 「ドン・ジョヴァンニ」の主題「お手をどうぞ」による変奏曲 変ロ長調 Op.2
1日目の最後を締めくくるのは、Tianyou LI さん!
「マズルカ Op.59」は、冒頭から一気に世界観に引き込まれました。
リズミカルで、透明感あふれる音色のマズルカ。
なんて美しい響き……!素敵すぎる(涙)
Op.59-2は、特に印象的。
思わず踊り出したくなるようなリズムの抑揚。自然で、息づかいを感じるような音楽。
まさに“生きているマズルカ”でした。
Op.59-3も、これもまた最高!!!
翻弄されるように、音の流れに身を任せてしまう。
なんと遊び心に満ちたマズルカなんでしょうか。
ショパンが微笑んでいるような気さえしました。
続く「ピアノソナタ第2番」も圧巻。
やはりこの曲では第3楽章の方向性が全体の印象を決めると個人的に思っていて、第2次予選でのEric Luさんの衝撃的な演奏を思い出しながら聴きましたが、Tianyouさんの演奏にもそれに近い深みがありました。
単なる悲しみではなく、もっと複雑で渦巻くような感情。
人間の心の奥底を覗き込むような演奏。
同じくこの日演奏したDavid Khirikuliさんの「第2番」とはまた異なる、重厚で静かな空気を纏った“葬送”でした。
素晴らしかったです。
そして最後の曲、「ラチダレム」は、もう最高でしたね!(涙)
まるで前回優勝者ブルース・リウさんの「ラチダレム」を彷彿とさせるような、魅力あふれる演奏。
何より、Tianyouさん自身が音楽を心から楽しんでいるのが伝わってくる。
聴いているこちらまで楽しくて、自然と笑顔になってしまいました。
こんなに難しい曲を、これほど表現豊かに、自由自在に奏でるなんて。
すべてが計算されているのに、それをまったく感じさせない。
音が輝き、跳ね、舞っていました。
圧巻の演奏。本当に感動しました。
大歓声&スタンディングオベーションもありました♪
これは、ファイナル行きそうですね〜!!
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まとめ
第3次予選の1日目は、7名の方々が演奏されました。
素晴らしい演奏者に、まずは盛大な拍手を♪
1日目でアガサが気になった方々は、以下の4名です!(頑張って絞ってます)
- David KHRIKULI(ジョージア)
- 桑原志織(日本)
- Hyuk LEE(韓国)
- Tianyou LI(中国)
まだ1日目なのに、強者揃いですごいことになってる。
もう第3次予選まで来ると、本当にみんなそれぞれに素晴らしい演奏で。
こんなリストにするのも本当におこがましいのですが…、自分の好きな演奏ということで記録させて!笑
寝不足の日々が続きますが、引き続き第3次予選楽しんでいきましょう^^
最後までご覧いただき、ありがとうございました♪

