10月９日から第19回ショパン国際ピアノコンクールの第２次予選がスタートしました。
このブログでは、予備予選・第１次予選のときと同じく、すべての演奏者の感想や印象を綴っていきます。
あくまで個人の感想ではありますが、演奏の魅力や気になったポイントをできるだけ丁寧に記録していくつもりです。
世界最高峰の舞台で繰り広げられる若きピアニストたちの演奏を、ぜひ一緒に楽しんでいただければ嬉しいです。
今回は、10月12日開催の4日目の感想です♪
ついに第２次予選最終日！
予備予選：2025年4月23日（水）〜2025年5月4日（日）
予備予選通過者発表：5月6日（火）17時30分（現地10時30分）配信あり
開会記念コンサート：10月2日（木）
1次予選：10月3日（金）〜10月7日（火）
2次予選：10月9日（木）〜10月12日（日）
3次予選：10月14日（火）〜10月16日（木）
本選：10月18日（土）〜10月20日（月）
上記は全て2025年4月23日時点での情報です。
変更となる場合がありますので必ず公式サイトをご参照ください。
この記事を書いている人
アガサ
このブログの運営者及び管理人
3歳からピアノを始め、クラシック音楽歴は30年以上。結婚・出産を経て育児の合間にピアノを再開し、念願のグランドピアノも迎えました。
現在はピアノ教室向けのグラフィックデザイナーとして、全国の先生方をサポートしています。
ピアノとクラシックをこよなく愛する主婦が、音楽やピアノにまつわる情報を気ままに発信中です♪
第２次予選の感想まとめ
4日目 昼の部 感想
Yehuda PROKOPOWICZ（ポーランド）17:00
使用ピアノ：Steinway & Sons
- バラード第2番 ヘ長調 Op.38
- 4つのマズルカ Op.17
- マズルカ風ロンド ヘ長調 Op.5
- 24の前奏曲 Op.28 第19～24番
- ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」
全曲通して、予備予選・第１次予選のときと同じく、自然な横の流れ。
4つのマズルカ、めちゃくちゃ良かった！
軽やかで、決して重くない。
やっぱりショパンのマズルカって良いなぁと改めて。
そして特に良かったのは「マズルカ風ロンド」。
前回大会でブルース・リウさんや反田さんの印象が強い曲だけど、彼はまた全然違う角度からのアプローチ。
美しい音色が自然に流れてきて、聴いていて本当に心地よかった。
この曲を16歳で書いたショパンが、年の近い19歳のYehudaさんの演奏を聴いたら絶対喜ぶと思う。
（でもショパンの性格的に、きっと話しかけはしない。笑）
若いのにテクニックをひけらかす感じが全然なくて、それがまたいい。
ラストの「英雄ポロネーズ」も流石でした！！
▼ 予備予選時の感想はこちら！
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
Hao RAO（中国）17:55
使用ピアノ：Steinway & Sons
- 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
- 24の前奏曲 Op.28 第13～18番
- スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
- アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
一曲目の「舟歌」から漂う、圧倒的な落ち着きと貫禄。
全ての音に誠実さがあって、実直な人柄そのものが感じられるようでした。
それでもやっぱり、時折見せるダイナミックな演奏には「おぉ！」と思わされます。
「スケルツォ第3番」なんて、もうさすがでしたね。
ぜひ第３次予選に進んで欲しいですね〜。
▼ 予備予選時の感想はこちら！
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
Anthony RATINOV（アメリカ）18:45
使用ピアノ：Steinway & Sons
- 24の前奏曲 Op.28 第13～18番
- ポロネーズ第5番 嬰へ短調 Op.44
- 即興曲第1番 変イ長調 Op.29
- 即興曲第2番 嬰へ長調 Op.36
- スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
余白が感じられる演奏。
美しく響く音色に、引き込まれるように次から次へと新たな音色が生まれているかのようでした。
それくらい自然な演奏。
「ポロネーズ第5番」も、何度も何度も聞いているのに、改めて良い曲だなーと思うんですよね。
ピアニストによって見える色が違うというか、毎回新しい発見があります。
「前奏曲」も素晴らしかった。全曲聴かせてほしい！（涙）
「スケルツォ第3番」も圧巻。
コーダの畳み掛けには、鳥肌が立ちました。
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
進藤実優（日本）19:55
使用ピアノ：Steinway & Sons
- 24の前奏曲 Op.28（全曲）
- ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」
第１次予選で素晴らしい演奏を聞かせてくれた進藤さんの登場です♪
「前奏曲」１音目から鳥肌。
不可解な音、光の中に浮かぶ魔法のような音色。
一つ一つの音がはっきりと聞こえるのに柔らかい
前奏曲２４曲を休みなく最後まで弾き切りました。
まるで、ショパンの人生の物語を見ているよう。
祖国を恋い、愛に傷み、音に生き、音に還った人。
短い彼の生涯を振り返っているかのような。
そこからの 「英雄ポロネーズ」。
もう何度も聞いたこの曲だけど、進藤さんの前奏曲でショパンという人物の人生を見た後に聞くとまた違った聞こえ方をするなと。
祖国ポーランドを生涯愛したショパンの愛が詰まった、美しく勇敢なポロネーズ。
素晴らしい。
魂のこもった名演でした。
演奏後、「ブラボー」と大歓声&大拍手でしたが、あの「ブラボー」絶対日本の方でしたね。笑
会場で聞いた彼女の演奏も素晴らしいものだったのでしょう。
第３次予選でも彼女の魂のこもった、そしてショパンへの愛が聞けますように。
▼ 予備予選時の感想はこちら！
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
Gabriele STRATA（イタリア）20:45
使用ピアノ：Steinway & Sons
- ボレロ イ短調 Op.19
- 24の前奏曲 Op.28 第7～12番
- ポロネーズ第5番 嬰へ短調 Op.44
- ノクターン第1番 変ロ短調 Op.9-1
- スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
１曲目から「ボレロ」！新鮮でしたね♪
調整が変わる部分での音色の変化も巧みで、色鮮やかな世界に引き込まれました。
「ボレロ」がイ長調で終わり、前奏曲の第7番のイ長調で始まる。
このつながり、ゾクゾクします。笑
物語が自然と繋がっていく感じが、本当に素敵です。
「ノクターン第1番」を選曲しているのも印象的。
美しい音色が、心にやさしく染み込む感じがしました。
「スケルツォ第2番」は、結構個性強めの演奏。面白い！
曲ごとに様々な景色を見せてくれるので、聴いていて楽しかったです。
▼ 予備予選時の感想はこちら！
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
4日目 夜の部 感想
牛田智大（日本）0:00
使用ピアノ：Steinway & Sons
- 24の前奏曲 Op.28 第19～24番
- ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」
- マズルカ風ロンド ヘ長調 Op.5
- ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
演奏前の舞台裏から笑顔！
前回大会では、この第２次予選で惜しくも次に進めませんでした。
彼にとって、ここが正念場とも言えるかもしれません。
師事しているパレチナ先生（審査員でもあります）も見守る中、１曲目は「マズルカ風ロンド」から始まります。
美しくリズミカル、そして中間部の美しさ。気迫あふれる演奏でした。
少し緊張は見られましたが、全く無問題だと思います。
続く「ピアノソナタ第2番」。
第１楽章の冒頭から、聴く者を押し寄せるように巻き込む力強さ。
第２楽章、第３楽章では中間部が特に美しく、牛田くんの持ち味である豊かな音色が健在でした。
Eric Luの演奏では、聴く者が別世界に連れ去られる感覚でしたが、牛田くんの第３楽章は少し違った印象。
まるで儀式のように淡々と進む中で訪れる救いの部分。
ショパンの思いを表現するというより、牛田くん本人が窮地の世界に足を踏み入れていて、私たちはそっとその世界を覗いている感覚です。
誰も踏み入ることのできない神秘的で恐ろしい空間。
「前奏曲」第19番からは美しい音色が続き、ソナタ第2番の世界がまだ胸に残っているような感覚。
第20番でノスタルジックに落ち、第21番で幸福感が訪れる。
第22番は劇的、第23番は安らぎと安寧の音色。
第24番は気迫あふれる魂の演奏。もはや言葉はいりません。
フィナーレを飾る「英雄ポロネーズ」。
これまでの物語を締めくくる華やかさがまた圧巻。
演奏後、楽屋に戻る姿が映りましたが、扉を閉めてカメラに映らないようにしていたのが少し気になりました。
顔に笑顔がなかったのも、心配です。
彼自身は、納得いく演奏ではなかったのかもしれません。
演奏後の取材も行われませんでした。大丈夫でしょうか…。
聴いている側としては、もう十分に素晴らしい演奏でした。
ぜひ次の第３次予選に進めますように！！！
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
Zitong WANG（中国）0:55
使用ピアノ：SigeruKawai
- 24の前奏曲 Op.28 第19～24番
- アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
- ノクターン第3番 ヘ長調 Op.15-1
- 3つのエコセーズ Op.72-3,4,5
- バラード第3番 変イ長調 Op.47
- プレスト・コン・レジェレッツァ（前奏曲） 変イ長調 WN 44
- マズルカ ヘ短調 Op.68-4（遺作）
予備予選も第１次予選も非常に素晴らしく、ずっと応援しているZitong WANGさん。
１曲目の「ノクターン第3番」は、美しく繊細な音色に包まれていて、彼女らしい静かな情感が伝わってきました。
続く「3つのエコセーズ」も軽やかで楽しく、まるで春風のような演奏。
悲劇的で叙情的なプログラムを選ぶコンテスタントが多い中、こうした明るく生き生きとした曲を聴けるのは嬉しいですね。
プログラムの構成も興味深く、ヘ長調で始まりヘ長調で終わるという、まるで一つの物語のような流れ。
最後まで自然体で、聴く人の心を優しく包み込むような演奏でした。
とても素晴らしいピアニストです！
▼ 予備予選時の感想はこちら！
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
Yifan WU（中国）1:45
使用ピアノ：Steinway & Sons
- 24の前奏曲 Op.28 第13～18番
- アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
- 幻想曲 ヘ短調 Op.49
「幻想曲」とても良かった。
16歳とは思えないほどの音楽性で、まさに正統派のショパンという印象。
中でも印象に残っているのは「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」。
とても誠実で、真っ直ぐな音色が心に響きました。
それでも、彼の奏でるショパンはとても美しく、純粋で、まっすぐな光のようでした。
▼ 予備予選時の感想はこちら！
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
山縣美季（日本）2:55
使用ピアノ：Shigeru Kawai
- ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄ポロネーズ」
- 24の前奏曲 Op.28（全曲）
さぁ、日本勢では最後の演奏者、山縣さんです♪
第１次予選でも素敵なドレスでしたが、今回はまさに正統派。
その美しさに思わず息をのみました。
「英雄ポロネーズ」は真っ直ぐで、凛としたショパン。
一音一音に確かな意志を感じました。
続く「前奏曲」も素晴らしくて、特に第23番の包み込むような優しい音色には、まるで女神に抱かれているような安心感がありました。
美しい音と佇まい、そして誠実なショパン。
素晴らしい演奏をありがとう、山縣さん！！！
▼ 予備予選時の感想はこちら！
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
William YANG（アメリカ）3:45
使用ピアノ：Steinway & Sons
- 24の前奏曲 Op.28 第19～24番
- アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
- 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
- 2つのノクターン Op.32
第２次予選、最後の演奏者はアメリカの William YANG さん。
第１次予選に引き続き、やはりあの独特な「間」が印象的。
それが彼の音楽を唯一無二のものにしています。
確かなテクニックの上に成り立つ、魔法のような音色。
「舟歌」は圧巻。
感動的な「舟歌」でした。
心が静かに揺さぶられるような、深く美しい響き。
「ノクターン」では、そっと心を包み込むような優しい音色にうっとり。
「アンスピ」も素晴らしかった。
音が自然と流れ込み、決して作り込みすぎていない“自然体の完成度”。
これこそ彼の真骨頂。
そして「前奏曲」。
最後まで息をのむような美しさで、聴く者を完全に引き込みました。
なぜ彼の音はこんなにも美しいのだろう。
そう思わずにはいられない、圧巻の演奏でした。
▼ 第１次予選時の感想はこちら！
まとめ
第２次予選の最終日4日目は、10名の方々が演奏されました。
素晴らしい演奏者に、まずは盛大な拍手を♪
4日目でアガサが気になった方々は、以下の９名です！（多いなぁ…笑）
- Yehuda PROKOPOWICZ（ポーランド）
- Hao RAO（中国）
- Anthony RATINOV（アメリカ）
- 進藤実優（日本）
- Gabriele STRATA（イタリア）
- 牛田智大（日本）
- Zitong WANG（中国）
- 山縣美季（日本）
- William YANG（アメリカ）
早いようで長かった、いや長いようで早かった第２次予選４日間が終了しましたー！！
THE 寝不足！！！！！！笑
皆さん素晴らしすぎて、半数に絞られるというのがもう信じられないです。
審査員の方々も悩まれるんでしょうね、きっと…。
次の第３次予選に向けて、第２次予選のまとめなどもまた更新予定です。
第３次予選も全ての演奏者の感想引き続き記録していく予定です。
残りわずかなショパコン、楽しんでいきましょう＾＾
最後までご覧いただき、ありがとうございました♪
