【2日目感想】ショパン国際ピアノコンクール2025【第一次予選】

Andrey ZENIN（個人中立）17:30

使用ピアノ：Shigeru Kawai

エチュードロ短調 Op.25-10
エチュード嬰ハ短調 Op.25-7
ワルツ第2番変イ長調 Op.34-1
バラード第1番ト短調 Op.23

予備予選の時も個性的で素敵な演奏でしたが、本大会でもしっかりと魅せてくれましたね。

聴いていて非常に面白く、「次のフレーズはどう演奏するんだろう？」とワクワクしながら見ていられるような演奏でした。

ワルツも独自の世界観が光っていましたし、バラードも「そういう解釈もあるのか」と感じさせる面白さがありました。

ただ、バラードに関してはラストにかけて少し荒削りな印象も。

全体を通して音楽性はしっかりと伝わってきました。

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Jacky Xiaoyu ZHANG（イギリス）18:00

使用ピアノ：Steinway & Sons

エチュードイ短調 Op.10-2
ノクターン第17番ロ長調 Op.62-1
ワルツ第1番変ホ長調 Op.18 「華麗なる大円舞曲」
バラード第2番ヘ長調 Op.38

予備予選で圧巻の演奏を聴かせてくれた Jacky Xiaoyu ZHANGさん。

やはり本大会でも、彼はすごかった。

1曲目の「ノクターン第17番」から、ぐっと引き込まれます。

17歳とは思えない表現力。
（今大会、本当に若手のレベルが高くて驚きです。1日目も才能あふれる演奏が続きましたからね）

大舞台でもまったく緊張を感じさせない精神力と度胸。
そして、若さとフレッシュさの中に確かな音楽性が光っていました。

彼は、特にタッチのコントロールが非常に繊細で素晴らしい。

「ノクターン第17番」のトリルの美しさには思わず鳥肌が立ちました。

この曲から一気に彼の世界へと誘われ、続く「エチュード Op.10-2」では確かなテクニックを披露。

あの曲は本当に難易度が高いのに、それをまったく感じさせない自然な流れ。
これは真似しようとしてもできるものではありません。

3曲目の「バラード第2番」では情景豊かに音楽を歌い上げ圧巻のコーダ、ラストの「ワルツ第1番」では丁寧に軽やかで華やかに締めくくりました。

彼の、「ワルツ第1番」大好きでした。素晴らしい。この一言。

彼の魅力が存分に発揮された素晴らしいプログラムだったと思います。

第2次予選ではどんな演奏を聴かせてくれるのか…、さらに彼のコンチェルトが聞いてみたいとも思います♪

楽しみだー！

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Yonghuan ZHONG（中国）18:30

使用ピアノ：Steinway & Sons

エチュードイ短調 Op.25-11 「木枯らし」
ノクターン第12番ト長調 Op.37-2
ワルツ第2番変イ長調 Op.34-1
バラード第2番ヘ長調 Op.38

飾らず、ナチュラルで温かみのある美しい演奏でした。

音には透明感があって、まっすぐ心に届くような清らかさを感じます。

ただ、全体としてはやや印象が薄く、もう少し何か心に残る“決め手”のようなものがあれば、さらに惹きつけられたかもしれません。

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Hanyuan ZHU（中国）19:30

使用ピアノ：FAZIOLI

エチュードホ長調 Op.10-3 「別れの曲」
エチュードロ短調 Op.25-10
ワルツ第1番変ホ長調 Op.18 「華麗なる大円舞曲」
舟歌嬰ヘ長調 Op.60

予備予選の時の感動見たらまぁまぁ辛口コメント書いててびっくりしました。（自分で書いたのに）

今回も、音色は美しいものの、どこか自然さが欠けてしまっているように思いました。

「別れの曲」では、表現への集中ゆえか、ところどころで音が途切れるような印象もあり、聴き手として少し気が散ってしまう場面も。

また、演奏中の呼吸音が少し目立っていたのも惜しい点でした。

一方で、「ワルツ第１番」は軽やかで華やか。明るくキラキラとした音色がとても魅力的でした。

ランラン味感じましたね。個性的ですが、面白かったです♪

全体としては彼らしい音楽性が感じられる演奏だったと思います。

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Jingting ZHU（中国）20:00

使用ピアノ：Steinway & Sons

エチュードロ短調 Op.25-10
ノクターン第17番ロ長調 Op.62-1
ワルツ第2番変イ長調 Op.34-1
舟歌嬰ヘ長調 Op.60

安定した実力者という印象で、一音一音が丁寧で、とても美しい音色でした。

全体的に落ち着いた佇まいで、誇張のない自然なフレーズの流れが心地よく、豊かであたたかな響きがホール全体を包み込むようでした。

予備予選の時はそこまで強く印象に残っていなかったのですが、今回はとても好印象！

音の緩急が自然で、素晴らしい。

「舟歌」は特に素晴らしく、音に厚みがあり、個人的に大好きな音色でした＾＾

その後の「エチュードOp.25-10」も、続く「ワルツ第2番」も個性が光っていて非常に良かった♪

この日のスタインウェイもよく鳴っていて、演奏をさらに引き立てていたと思います。

彼のほかの演奏もぜひ聴いてみたいですね。

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Piotr ALEXEWICZ（ポーランド）20:30

使用ピアノ：Shigeru Kawai

エチュードロ短調 Op.25-10
幻想曲ヘ短調 Op.49
ワルツ第5番変イ長調 Op.42
ノクターン第18番ホ長調 Op.62-2

1曲目から「幻想曲」という斬新なプログラムで、新鮮な印象でした。

「幻想曲」は個性的な表現が光っていて面白かったのですが、少し音が重く感じられる場面もありました。

が、彼の演奏はなぜか惹きつけられる魅力的な演奏なんですよね〜…♪

続く「ワルツ第5番」は、落ち着いたテンポで形式にとらわれない自由な演奏。
個人的にはとても素敵だと思いました。

どの曲も焦りは微塵もなく、余白を感じさせるゆったりとした演奏で、まるで部屋でずっと流しておきたいような心地よさ。

Shigeru Kawaiのまろやかな音とも非常に相性が良かったと思います。

実力者ならではの貫禄が感じられる演奏でした＾＾

Jonas AUMILLER（ドイツ）21:00

使用ピアノ：Shigeru Kawai

エチュード嬰ハ短調 Op.25-7
舟歌嬰ヘ長調 Op.60
ワルツ第1番変ホ長調 Op.18 「華麗なる大円舞曲」
エチュードロ短調 Op.25-10

2日目、昼の部ラストは予備予選免除の Jonas AUMILLERさん。

今年は Shigeru Kawai を選ぶ方が本当に多くて、日本人として嬉しいですね♪

Jonasさんは大人の余裕を感じさせる表現で、全曲素晴らしかったです。

「舟歌」は本当に素敵で…涙が出そうになるほど美しかった。

ヴェネツィアの情景が思い浮かぶような、深みのある端正な音色。（1回しか行ったことないくせに。笑）

無駄なものはすべて削ぎ落とされたかのようで、暖かさの中にもの悲しさも含まれ、聴いていて胸が熱くなりました。

この曲は弾く人によって色が大きく変わりますが、私はこの方の「舟歌」が本当に大好きでした。

まさに「これこれ！」と思わせる演奏で、鳥肌が立ちました。

その後の3曲も、ショパンの美しさに魅せられる演奏でうっとり。とにかくうっとり。

「ワルツ第1番」もとにかく美しく、おしゃれで端正。
こんなワルツの弾き方があるんだ！と、感動しました。

Jonasさんの演奏、大好きです！

ぜひファイナルまで進んで、コンチェルトも聴かせてほしいです。

2日目夜の部感想

Yanyan BAO（中国）0:00

使用ピアノ：Steinway & Sons

エチュードイ短調 Op.25-11 「木枯らし」
ノクターン第8番変ニ長調 Op.27-2
ワルツ第5番変イ長調 Op.42
バラード第1番ト短調 Op.23

夜の部、最初の演奏者は予備予選でも素晴らしい演奏を聴かせてくれた Yanyan BAOさん。

1曲目の「ノクターン」から、思わず胸が熱くなるほど感動しました。

なんて優しく、切なく、暖かい音色。

序盤で客席から携帯のアラームか着信音が鳴ってしまうハプニングもありましたが、集中力を切らさず、美しい音色で演奏を続けてくれました。

個性が光る「バラード第1番」、彼女の表現力の幅を感じられる演奏でした。

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Michal BASISTA (ポーランド）0:30

使用ピアノ：Shigeru Kawai

エチュードイ短調 Op.25-11 「木枯らし」
ノクターン第8番変ニ長調 Op.27-2
ワルツ第2番変イ長調 Op.34-1
バラード第1番ト短調 Op.23

イケメン登場！と思ったら、予備予選の感想でも同じことを書いていました。（1日目にもあったな。笑）

美しい「バラード第1番」は、ドラマティックで幻想的な演奏でした。

大事な部分でのミスタッチは少し惜しかったですが、コーダの畳み掛けは圧巻で素晴らしかったです。

「ノクターン第8番」では、Shigeru Kawaiのピアノの音色を最大限に引き出し、繊細で丁寧、そして美しい演奏を聴かせてくれました。

「ワルツ第2番」も個性的で華やか、かつ綺麗にまとめられていたと思います。

「木枯らし」はラストのラストで左手が追いつかず…。非常に惜しかったです。

地元ポーランドでの演奏ということで、かなりのプレッシャーもあったと思いますが、素敵なステージでした。

1日目の感想でも書いたのですが、今回やはり群を抜いてShigeru Kawaiが個人的には良い音が鳴っていると思います。

スタインウェイは演奏者によって中間部の響きに差が出るように感じる場面もありましたが、Shigeru Kawaiは本当に素晴らしい音色で、人気が一気に出そうだなと。

と言っても天下のスタインウェイですから。
もちろん綺麗ですけどね。

ピアノ選びも演奏の印象を左右する重要なポイントになっていますね。

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Kai-Min CHANG（台湾）1:00

使用ピアノ：Steinway & Sons

エチュードロ短調 Op.25-10
ノクターン第14番嬰へ短調 Op.48-2
ワルツ第2番変イ長調 Op.34-1
バラード第2番ヘ長調 Op.38

予備予選でも素晴らしい演奏を見せてくれたKai-Min CHANGさん。

今回もとても素敵なステージでした。

「ノクターン第14番」では、過度に誇張することなく、彼の音楽性がしっかりと伝わってくる演奏で、とても美しかったです。

「ワルツ第2番」では特に彼の個性が光り、非常に魅力的な演奏でした。

テクニックは言うまでもなく素晴らしく、何より彼の音楽性の豊かさが印象的でした。

他の曲もぜひ聴いてみたいと思わせてくれる演奏者です。

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Kevin CHEN (カナダ）1:30

使用ピアノ：Steinway & Sons

エチュード嬰ト短調 Op.25-6
ノクターン第13番ハ短調 Op.48-1
ワルツ第1番変ホ長調 Op.18 「華麗なる大円舞曲」
幻想曲ヘ短調 Op.49

予備予選免除の Kevin CHENさん！

10代でジュネーヴ国際音楽コンクールやルービンシュタイン国際ピアノコンクールを制したスーパー実力者ですが、もう…今回の演奏もヤバすぎました。

歴史に残る名演の予感。泣きました。

「ノクターン第13番」からもう引き込まれる…。美しい響き、透明感、完璧。

「ワルツ第1番」ではオーソドックスなショパンを感じさせつつも、内声の響かせ方など個性も光る。

もう完璧すぎて笑っちゃうレベル。

そして「エチュードOp.25-6」！何これ！？信じられない…。

こんな難曲を、音楽性たっぷりにさらりと弾いちゃうんです。意味不明なほど上手い。

ラストの「幻想曲」に至っては、もはや圧倒。

もうKevin CHENワールド。これ、ショパンコンクールですよ？ありえない…。

聴いてる間ずっと鳥肌止まらないし、ちょっと不機嫌気味だったスタインウェイも笑顔になっちゃうんじゃないかと思うくらい（笑）

タッチ、テクニック、表現力、音楽性、精神力…全て完璧。

完全に頭ひとつ抜けてます。

終わった後に歓声が上がるほど。現地のファンも納得の演奏だったのでしょう。

速攻でファンになりました。もう応援せずにはいられない！大好きです！！！

Xuehong CHEN（中国）2:00

使用ピアノ：Steinway & Sons

エチュード嬰ト短調 Op.25-6
ノクターン第8番変ニ長調 Op.27-2
ワルツ第2番変イ長調 Op.34-1
バラード第3番変イ長調 Op.47

和声の響きがとてもわかりやすく、一音一音を丁寧に紡いでいる印象でした。

まっすぐで誠実な音楽。
聴いていて自然に心がほどけるような、そんな演奏。

「エチュードOp.25-6」も、あの超難曲を抑揚豊かに、美しく奏でていましたね。

３度のエチュードはショパンの中でも群を抜いて難しいのに、まるで呼吸するように弾きこなしていて本当に素晴らしい。言葉もありません。

貫禄ある佇まいとは対照的に、紡ぎ出される音は繊細で優しく、ずっと聴いていたくなるような響きでした。

特に「バラード第3番」とても良かったと思います！

…とはいえ、直前のKevin CHENさんの演奏があまりにも衝撃的で。

どうしても印象が薄れてしまうのは、ある意味仕方がないかもしれません。

それでも、彼自身も間違いなく素晴らしい感性を持った天才的なピアニストだと思います。

第２次予選でも拝聴できますように！

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Zixi CHEN（中国）3:00

使用ピアノ：Shigeru Kawai

エチュードハ長調 Op.10-1
ノクターン第17番ロ長調 Op.62-1
ワルツ第2番変イ長調 Op.34-1
バラード第3番変イ長調 Op.47

彼は、予備予選の時から気になっていた一人です。

とにかく音の輪郭がはっきりしていて、聴いていてとても安心感のある音色。

一音一音がくっきりしていて、空間の隅々まで届くような美しさがありました。

というかもう、本大会って本当に強者しかいないですね。（笑）

誰が第２次予選に進んでもおかしくない。全員すごすぎる。

「エチュードOp.10-1」も、音が非常にクリアで素晴らしかったです。

特にバスの響きが気持ちよく、構成がしっかりしていて聴いていて安心できました。

全体的にテンポを少しゆったりめに取っていたのも印象的で、焦らず、自分の音楽を大切にしているような演奏。

それがまた新鮮で、とても良かったです。

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Hoi Leong CHEONG (中国/ポルトガル）3:30

使用ピアノ：YAMAHA

エチュードイ短調 Op.25-11 「木枯らし」
ノクターン第16番変ホ長調 Op.55-2
ワルツ第5番変イ長調 Op.42
バラード第3番変イ長調 Op.47

久しぶりにYAMAHAきましたー！

やっぱり良いですね、YAMAHAの音色…（涙）

今大会ではYAMAHAを選ぶ方が少ないので、この音を聴けるのは本当に貴重です。

とはいえ、少し緊張があったのか、序盤は全体的に音がやや硬めに感じました。

それでも、「木枯らし」は落ち着いたテンポで丁寧にまとめられていて、とても良かったと思います。

緊張もほぐれてきたのか、後半の「ワルツ第5番」「バラード第3番」は華やかで勢いがあり、とても素晴らしい演奏でした！

「バラード」は第3番が続いていますが、弾き手によってまったく違う表情を見せてくれるのが面白いですね。

▼ 予備予選時の感想はこちら！

Diana COOPER（イギリス）4:00

使用ピアノ：Steinway & Sons

エチュード嬰ト短調 Op.25-6
ノクターン第8番変ニ長調 Op.27-2
ワルツ第5番変イ長調 Op.42
バラード第2番ヘ長調 Op.38長調 Op.10-1

全体的に、なぜか少し音の輪郭がガチャガチャと聞こえてしまうような印象がありました。

「ノクターン」と「ワルツ」はとても整っていて、美しく丁寧に仕上げられていましたね。

一音一音を大切にしているのが伝わってきて、誠実な音楽づくりをされている方だと感じました。

ただ、今回に関しては、全体を通してやや大人しめというか、その先にもう一歩踏み込んでくるような“何か”までは届かなかった印象もあります。

とはいえ、基礎のしっかりとした方だと思いますし、
次のステージではまた違った魅力を聴かせてくれるのではと期待しています。

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Athena DENG（カナダ）4:30

使用ピアノ：Shigeru Kawai

エチュードロ短調 Op.25-10
ノクターン第12番ト長調 Op.37-2
ワルツ第5番変イ長調 Op.42
バラード第2番ヘ長調 Op.38

予備予選でも素晴らしい演奏を聴かせてくれたAthena DENGさんが2日目最後の演奏者です。

本大会でもその美しい音色が印象的でした。

Shigeru Kawaiの音がホールいっぱいに響き渡っていて、現地で聴いていたらきっとさらに感動的だったのではと思います。

少し緊張もあったのか、「ワルツ第5番」ではひやっとする場面もありましたが、最後までしっかりと弾き切りましたね。

彼女の音楽性はとても豊かで、音への感性やセンスの良さが光っていました。

ぜひ今後、ほかの作品の演奏も聴いてみたいピアニストです。

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