ブルース・リウ2023リサイタル感想|ショパコン優勝者の圧巻演奏

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2023年3月1日、大阪のザ・シンフォニーホールで開催された、ブルース・リウのピアノリサイタルを鑑賞しました♪

この公演は、第18回ショパン国際ピアノコンクール(以後:ショパコン)優勝後、世界中で注目を集めているブルース・リウさんの来日公演です。

ショパコンでの演奏に深く感動し、その後の活動を追ってきたこともあり、今回のリサイタルには特に期待して足を運びました。

この記事では、当日のプログラム内容と演奏の印象を中心に、ブルース・リウというピアニストの魅力について詳しくお伝えします。

この記事を書いている人

アガサ
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3歳からピアノを始め、クラシック音楽歴は30年以上。結婚・出産を経て育児の合間にピアノを再開し、念願のグランドピアノも迎えました。
現在はピアノ教室向けのグラフィックデザイナーとして、全国の先生方をサポートしています。
ピアノとクラシックをこよなく愛する主婦が、音楽やピアノにまつわる情報を気ままに発信中です♪

この記事はこんな方にオススメ!
  • ブルース・リウさんの演奏が気になっている方
  • 実際のリサイタル体験談を読みたい方
  • ショパンコンクール後の活動を追っている方
目次

リサイタルプログラムと感想

会場のザ・シンフォニーホールのステージです。360度客席っていいですよね♪

当日は会場が満員となり、客層も幅広く、小学生くらいのお子さんから年配の方まで多くの聴衆が詰めかけていました。

男女比はおおよそ4:6ほど。

国境を超えて、ここまで注目される存在になったことに感動すら覚えました。

開演とともに登場したブルース・リウさんは、すらりとした佇まいと洗練された身のこなしが印象的でした。

その姿が現れた瞬間から、リサイタルへの期待が一気に高まりました。

ラモー:クラヴサンのための小品

  • 優しい嘆き
  • 一つの巨人
  • 2つのメヌエット
  • 未開人
  • 雌鶏
  • ガヴォットと6つの変奏

ラモーの作品は、これまであまり聴く機会がなかったのですが、今回ブルース・リウさんの演奏を通して、その魅力に心から惹きつけられました。

理論家でもあったラモーならではの、精緻で美しい和声や構造の妙。

そのどれもが、単なる“学問的な音楽”にとどまらず、リウさんの手にかかると実に情緒豊かに響いてくるのです。

フランス生まれの彼が、同郷の作曲家ラモーに深い敬意と探究心を持って演奏しているのが伝わってきて、なんとも胸が熱くなりました。

表情豊かな作品の数々を丁寧に弾き分けていて、まさに“今この時代に聴くバロック”として新鮮に感じられる瞬間の連続

思わず息をのむような、そんな体験でした。

ショパン:モーツァルトの歌劇《ドン・ジョヴァンニ》の“お手をどうぞ”の主題による変奏曲 変ロ長調 Op.2

この作品は、ショパンが17歳のときに作曲したもので、ブルース・リウさんはショパコンでもこの曲を演奏し、大きな話題を呼びました。

今回の演奏も、まさに圧巻!

芯のある力強さと、繊細でしなやかなタッチが共存する見事な演奏で、まるで鍵盤の上を舞っているような軽やかさとエネルギーにあふれていました。

足でリズムを刻みながら生き生きと弾く姿からも、音楽そのものと完全に一体になっていることが伝わってきて、見ているこちらまで引き込まれました。

主題のメロディは、演奏中だけでなく終演後もしばらく頭から離れないほど印象的

あの一瞬一瞬が、今でも鮮明に蘇ってきます。

使用されていたのは、ショパコンでも使用していた「FAZIOLI(ファツィオリ)」のフルコンサートモデルのピアノです。

透き通るように輝く音色と彼のタッチが完璧にかみ合っていて、ピアノの持つ個性を限界まで引き出しているように感じました。

そして何より、この演奏は「歴史に残る名演だ」と多くの審査員が絶賛したというのも、納得しかありません。

会場の空気が変わるような、そんな特別な瞬間でした。

演奏終了後に、休憩に入りました。

ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ長調「葬送」Op.35

休憩後に演奏されたのは、ショパンのピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調「葬送」Op.35。

個人的にも大好きな作品で、冒頭から心が高鳴りました!

この曲も、ブルース・リウさんがショパコン第3次予選でも披露していたもの。

その時の記憶がよみがえりつつも、今回はさらに深く染み入るような演奏でした。

第3楽章「葬送行進曲」はあまりにも有名ですが、実際にショパン自身の葬儀でも演奏されたというエピソードを思い出すと、より一層胸に迫るものがあります。

特に中間部の旋律の神秘的な美しさと優しさには、静かに心をゆだねたくなるような感覚すらありました。

全4楽章を通して非常に高い難易度の作品ですが、ブルース・リウさんはその複雑な構造と情緒を余すことなく描ききっていて、まさに圧巻のひとこと。

第1楽章の緊張感、第2楽章の不穏な勢い、第3楽章の葬送行進曲、そして終楽章の不気味な疾走感まで――あのショパコンの時と同じく、いやそれ以上に、完璧な世界がそこに広がっていました。

この曲の特徴でもある、重苦しく陰湿な空気を漂わせつつも、時に讃美歌のように澄み切った音を奏でるバランスの妙。

そこには彼ならではの繊細さと深い解釈があって、「ブルース・リウにしか描けないショパン像」がくっきりと浮かび上がっていたように感じます。

この曲もまた、忘れられない名演でした。

ショパン:3つの新しい練習曲

ショパンの「3つの新しい練習曲」は、作品10や作品25に比べるとあまり知られていませんが、「ピアノ教本に収めるために作られた」という背景があります。

一見するとシンプルに見えますが、想像力を働かせていかに表現を作り込んでいくかがポイントになる、とても難しい作品です。

何も考えずにただ弾くだけでは味気ない演奏になってしまいがちですが、さすがはブルース・リウさん。

期待をはるかに超え、まったく別次元の素晴らしさでした。

特に第3番は難易度が高く、跳躍する左手の舞曲のリズムに合わせて、右手はレガートのメロディと内声のスタッカートを同時に弾き分けるという高度な技術が要求されます。

それを「なんてことないよ」と言わんばかりに、さらりと軽やかに弾きこなすブルース・リウさんの姿にただただ参りました!(笑)

まさに彼の実力と表現力の凄さをまざまざと見せつけられた演奏でした。

リスト:ドン・ジョヴァンニの回想 S.418

リストの「ドン・ジョヴァンニの回想 S.418」が聴けるとは、本当に感慨深かったです。

ショパンの「ドン・ジョヴァンニ」とリストのこの曲、両方が聴ける贅沢な時間でした。

リストのこの作品は、跳躍が多く連続するオクターブやあちこちに動き回る複雑な音階が満載で、まさに難曲中の難曲!

演奏は、素晴らしすぎる――それに尽きます。

まさに天才的な技術と表現力が融合した見事な演奏で、壮大な世界に圧倒されっぱなしでした。

彼の圧倒的なテクニック、そしてブルース・リウさんならではの独特なリズム感と世界観にお客様も釘付け。

息つく間もなく繰り広げられる圧巻の演奏に、終演後は満場のスタンディングオベーションが起こりました。

周りの方々も口をそろえて「凄すぎる!」と絶賛していました。

惜しみない拍手に応えるブルース・リウさんは、少し照れくさそうに笑顔でお辞儀。

こんな大曲を弾き切ったら、私は満面のドヤ顔でお辞儀しちゃいそうですが(笑)、彼は変わらずとても自然体。

その謙虚で好感度の高い姿もまた、彼の魅力のひとつだなと実感しました。

アンコールブログラムと感想

熱烈な拍手に応え、なんとアンコールで5曲も披露してくれました!

  • ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調「遺作」
  • ショパン:3つのエコセーズ Op.72-3
  • バッハ:フランス組曲第5番 ト短調 BWV816よりアルマンド
  • リスト:ラ・カンパネラ
  • ショパン:ワルツ 第19番 イ短調(遺作)

普段のプログラムで超絶技巧を見せつけてくれたのに、さらにアンコールでまるでもう一つのリサイタルを聴いているかのような豪華さ。

中でもリストの「ラ・カンパネラ」は有名曲だけに、曲が始まると会場は一瞬ザワザワ…(笑)。

ブルース・リウさんのラ・カンパネラは初めて聴きましたが、何度も聴き慣れた曲が、彼の独特な世界観で新鮮に響きました。

しつこいようですが、本当に天才的な素晴らしさ!

絶妙なテンポで難曲を弾き切った後は、会場の盛り上がりが最高潮に達しました。

まとめ

今回は、このリサイタルのために新幹線で大阪まで向かいました。

道中、ショパンコンクールに関する書籍を読んでいたのですが、そこにはブルース・リウさんがコンクール期間中、他の演奏者の演奏を一切聴かず、まるで仏陀のように静かに集中していたと書かれていました。

彼ほどの実力があっても、歴史あるコンクールの舞台では予測できないことが起こり、大きなプレッシャーを感じていたのだと改めて感じました。

一方で、彼のショパンの演奏に対しては「ショパンではない」といった声もあるそうです。

伝統的な解釈から逸脱しすぎていると捉えられ、好まれない方がいるのも理解できます。

しかし、私は今回のリサイタルで、圧倒的なブルース・リウの世界に魅了されました。

彼の演奏はこれまでの経験が洗練され、まさに新時代の求心力となるピアニストだと心から思います。

若き才能を心ない批判で傷つけるのは避けてほしいですし、批評家を名乗って誹謗中傷をする方々に押しつぶされてほしくないと願っています。

ショパンだけでなく、ラモーやリスト、バッハなど幅広い作曲家の作品を素晴らしい演奏で聴かせてくれるブルース・リウさん。

ショパンコンクールの優勝は彼のキャリアの第一歩に過ぎません。

これからも彼の特徴的なリズム感、卓越した技術、豊かな表現力で世界中の人を魅了し続けてくれるはずです!

リサイタルから数日経った今でも、彼の音楽と優しい響きが心に残っています。

生で彼の演奏を聴けたことは、私の音楽人生で忘れられない宝物になりました♪

もし機会があれば、ぜひブルース・リウさんの演奏を体験してみてください。

きっとその魅力にどっぷりハマるはずです(^^)

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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