モインモイン!みなさん、こんにちは♪
ピアノ大好き主婦のアガサです。
2024年11月24日(日)大阪のザ・シンフォニーホールにて、エフゲニー・キーシンのピアノ・リサイタルが行われました。
待ちに待った、キーシンの来日公演です!しかも、日本ツアーの初日!
1番大好きで尊敬している(尊敬するのもおこがましい)キーシンのリサイタルに、遂に行ってきましたよ・・・。(涙)
あれやこれやと感じたことはたくさんあるのに語彙力が無く、陳腐な言葉で綴っていいものかと悩みましたがとにかくこの興奮と感動を残しておきたい!ということで、、拙い文章ですが感想ブログいきます。
想いが溢れ過ぎてうまく文章にまとめられず、この記事を書き上げるのに数週間もかかってしまいました。
長くなりますが、ご興味のある方はぜひ最後までお読みいただけますと幸いです♪
リサイタル情報
日時:2024年11月24日(日)14:00開演(13:00開場)
会場:ザ・シンフォニーホール(大阪)
会場は、クラシックといえば大阪ではお馴染みのザ・シンフォニーホール。
この会場は、本当に音響が素晴らしいですね。
これまで、ブルース・リウさんやイム・ユンチャンさん等の来日公演で何度か行ったことがありますが、毎回音響の良さ、スタッフさんの対応の良さに感動します!(田舎者なので余計に!笑)
チケットは、ザ・シンフォニーホールの公式サイトで発売日に即購入いたしました。
が、少し出遅れてしまい・・・1階G列31番という上手側の席しか取れず。
チケット代金は、以下の通りでした。
A席:21,000円
B席:17,000円
C席:13,000円
D席:9,000円
やはり国外ピアニストの来日公演ですし、天下のキーシン様なので料金は高めではあります。
キーシンの来日公演がA席2万円で見られるなんて、安いもんだ!!
いや、安くはないよー!!!笑
でも、ファンの人からすると料金は二の次になるよね。
プログラム内容
リサイタルプログラムは、以下の通り。
少なめの曲数ではありましたが、キーシンを堪能させていただくには十分すぎるほど大大大満足すぎるリサイタルでした。
以下に、詳しく感想を綴っていきます!
曲目と感想
まず、開演時間より早めに着席した私の心境は・・・、
この会場にキーシン様がいるんだ。無理だ。
本当にいるの!?やばいやばい。
ただのミーハーファン!笑
本当にそうなっちゃうくらい、信じられなかったのよ・・・。
感想の前に少しだけ余談ですが、お話しさせてください。
私が初めてキーシンを知ったのは、小学生。
その頃まだサービスが始まったばかりのYouTubeを実家のPCで見ていたのですが、ラ・カンパネラの演奏動画を探していてそこで出会ったのがキーシンだったんですよね。
1997年8月、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われたリサイタルで、ラカンパネラを演奏する映像です。
衝撃でした。
ラ・カンパネラの演奏が終わる頃には、号泣していた私。
母に、「どうしたん!?」と驚かれたのを覚えています。笑
キーシンの超絶技巧に感動したのもありますが、1番はキーシンが紡ぎ出す音ひとつひとつが美しく、ピアノという楽器はこんなにもすごいものだったのかと子供ながらに感じたのです。
そこから、キーシンのいろいろな演奏動画ばかり見るようになり、キーシンのCDも揃えて聞きまくり(笑)
あれよあれよと虜になり、そこから私の中の唯一無二の偉大なピアニストになったわけです。
他にも好きなピアニストは、もちろんたくさんいます。
小林愛実、反田恭平、マルタ・アルゲリッチ、ダニール・トリフォノフ、藤田真央、ウラディ―ミル・アシュケナージ、ニコライ・ルガンスキー、ダニエル・バレンボイム などなど・・・ 他にもたくさん。(敬称略)
ですが、キーシンはやはり私の中の最上級特別枠なのです!
前置きが長くなりましたが・・・、今まで映像や音源の中でしか聴いたことがなかったキーシンの音を聞けるということが、まだ信じられず開演前はずっとソワソワしていました。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調 op.90
開演時間になり、舞台袖からキーシンが初めて出てきた時、絶対感情が爆発して泣いてしまうと思っていたのですが、その時の私はポカーンと放心状態でした。
ピアノの側まで、にこやかな表情で歩いてきて観客に向かいお辞儀をしているキーシンと、割れんばかりの大歓迎の拍手。
本当にすぐ近くにあのキーシンがいるんだ!と実感するのに時間がかかってしまい、その全てが夢の中のような、そんな不思議な感覚でした。
ピアノに向かい、弾き始めの1音を聞いた瞬間に、キーシンの音だ!!!と実感して、バーーーーっと涙が出てきました。
そこからは、1音1音聴き逃すまい!と、しっかりと演奏に集中しました。
この曲を完成させた時期のベートーヴェンは、かつて意欲的に曲を作っていた頃とは違い、スランプ状態にありました。
聴力の喪失、戦争が原因で起こる様々な不都合、経済的困難などが重なり、ピアノソナタは、『告別ソナタ』以来この曲が出来上がるまで4年も間が空いてしまっているんですね。
キーシンも年齢を重ね、かつて超絶技巧をたくさん弾いていた若い頃とは演奏スタイルやキーシン自身が演奏したいと思う曲のジャンルも変わりました。
大切な唯一無二の恩師との別れもありましたよね。
幼少期の頃から神童と言われもてはやされてきた故の、苦悩や葛藤も数え切れないくらいあったでしょう。
一つ一つのメロディーからキーシンの進化してきた歴史の重みを感じ、感動を抑えられませんでした。
繊細な響きの余韻を残しながら、激しく燃えたぎる苦悩を表しているような重厚な音色。
今までのキーシンから格段に表現力が掘り下げられ、より深みのある音色に変化しているように感じました。
音色一つ一つがスッと心に染み渡っていくこの感覚。
様々なピアニストのリサイタルやコンサートに行っていますが、この感覚になった方は実は多くありません。(このお話はまたどこかで・・・。(笑))
改めて、キーシンの偉大さを感じました。
観客の大きな大きな拍手に包まれて、1曲目は終了しました。
ショパン:ノクターン 第14番 嬰ヘ短調 op.48-2
一旦袖に戻り、少ししてまた出てきて深々とお辞儀をし2曲目の演奏に入ったキーシン。
こちらもまた、素晴らしすぎました・・・!!(涙)
静かな曲ながらも、ショパンの情熱のこもったノクターン14番。
全体的に静かな曲ではありますが、これが非常に演奏が難しいんですよね。
微妙な音色の変化を意識したり、その微妙な表情の移ろいを音楽的に完璧に演奏したり、といった非常に繊細な表現が必要です。
技術的なことは、言わずもがなですが・・・キーシンは終始透き通ったような音色なのに、どこか深みがあって重い、そんな音色で素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
「この曲、いいなぁ、素敵だ!」と、初めて感じることができました。(笑)
えええ!?この曲好きじゃなかったの?
いやいや!好きじゃないわけじゃなくて、他のノクターンに比べると盛り上がりどころもあまりなくて地味な作品だから、あまり好まなかっただけよ!
それを、好きじゃないっていうんじゃ・・・?
まぁ、そうかもしれない。(笑)
でも、キーシンの演奏を聴いて考えが変わって、この曲も素敵だなって思えたのよ。不思議だよね。
ショパン:幻想曲 ヘ短調 op.49
前半最後の曲は、ショパンの幻想曲。
この曲、個人的に大好きで色々な方の演奏を数多く聴いてきましたが、やっぱりキーシンすごぉーー!って思いました。
急に幼稚園児みたいになっちゃった。
ショパンが恋人のジョルジュ・サンドと共に滞在していたノアンで作られたこの曲は、ショパンが生活面でも精神面でも生涯最も充実していた時期に作られた作品なんですよね。
かなり幅広く音楽がどんどん展開していくのですが、キーシンの演奏は観客誰一人も置いて行かない。
非常に明瞭で音楽の流れが分かりやすく独特すぎる癖がないので、みんながキーシンに自然とついていっている、そんな感じでした。
終わった後の、会場の興奮と熱がすごかった!
凄まじい余韻を残したまま、休憩に入りました。
ブラームス:4つのバラード op.10
休憩が明けて、いよいよ後半が始まりましたよー!
4曲のバラードが、同主調になっている2曲が、2組組み合わさった構成になっています。
- アンダンテ ニ短調
- アンダンテ ニ長調
- 「間奏曲」アレグロ ロ短調
- アンダンテ・コン・モート ロ長調
この中の1曲だけピックアップして演奏されることもあるのですがが、調性的な関連があるので、まとめて演奏されることが多いです。
ショパンやリストのバラードほど豪華絢爛!といった感じではなく、全体的に抒情的で感性豊かな曲たちです。
キーシンは、全体的にテンポはゆったりめでたっぷりと歌い上げていました。
この曲の美しさを極限まで引き出し、繊細なタッチで美しい音色を紡ぎ出すキーシンは、まるで魔法使いのよう。
4曲それぞれにストーリー性があるように感じられ、とても面白かったです!
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第2番 ニ短調 op.14
続いては、プロコフィエフの個性炸裂!の、ソナタ2番です。
プロコの有名な「戦争ソナタ」と呼ばれている第6番、第7番、第8番に比べると構造は簡素ですが、これもまた堂々したソナタです。
以下の4楽章構成になっています。
- 第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ ニ短調
- 第2楽章 スケルツォ アレグロ・マルカート イ短調
- 第3楽章 アンダンテ 嬰ト短調
- 第4楽章 ヴィヴァーチェ ニ短調
第1楽章は、いきなりドラマティックに激しく弾き始め、軽快でリズミカル、中間部分ではとても丁寧に柔らかく引き上げていました。
どんな場面でも聴衆を飽きさせることなく、多彩に音色を操り観客を驚かせ新たな境地へと誘うキーシンに脱帽しました。
第2楽章のスケルツォも、非常に面白かったですね。
「何弾いてるかわかんない・・・」となりそうなプロコの独特で不思議な音色が、歯車がどんどん噛み合っていくように音楽が進行していきとっても楽しい!
第3楽章では、不吉な音色がずっと鳴り響き不思議な世界に入り込んでしまったかのような感覚に。
ゆったりと深く演奏してくれました。
第4楽章は、第3楽章の雰囲気を一変させる大迫力な演奏で一気にまた観客を翻弄させてくれましたね。
無窮動のリズムが、キーシンによってさらに洗練された色がつけられて、完成された音色になっていました。
この不思議な感覚が、楽しくてたまらない!
まんまとキーシンの巧みな技に乗せられて(笑)、最後は大歓声&大拍手&スタンディングオーベーションでした!
アンコール曲目と感想
アンコールは全部で3曲、演奏してくれました♪
なんと、1曲目に演奏してくれたのがショパンのマズルカOp.67-4!
この曲は、上記にも紹介したYouTube映像、ロイヤル・アルバート・ホールでのリサイタルでアンコールでも演奏された曲なんです。
何度も何度もそのリサイタルの映像を見ていたので、生で聞けたことが嬉しく、さらに年齢も重ね深みが増したキーシンの今の感性で演奏したこの曲を聴けたことに感動して、感涙でした。
優しく美しい、でもどこか哀しい旋律が、心に沁みまくりました。
演奏後も、ステージの上でカーテンコールに応えているキーシンの顔は終始穏やかでにこやかでとても優しいのです。
何度もお辞儀をするその姿からも、キーシンの人柄が本当に素晴らしいことがもう滲み出ちゃっている!!!!
そして2曲目も、楽しくリズミカル!
選曲がマイナーで、キーシンらしいな(笑) と微笑ましく思いながらも、存分にキーシンスタイルを見せつけてくれましたね。
そして、3曲目。
この曲はもうね、大号泣しながら聞いていました。
弾き始めた時に、「この曲で、みなさんお別れですよ、ありがとう!」と言われているのが分かったからです。
思い出しながら、この記事をPCに打ち込んでいる、今もその時の感情が蘇ってきて泣いています。
え・・・?(笑)
ブラームスのこのワルツは、とても有名で「愛のワルツ」とも言われています。
キーシンのこの曲への愛、ピアノに対する愛、恩師や家族への愛、日本に対する愛、全てに向ける愛を感じました。
たくさんの歓声と拍手に包まれて、リサイタルは終了しました。
まとめ
待ちに待った念願のキーシンのリサイタル、本当にあっという間に終わってしまいました。
キーシンの音色はやはり、特別でした。
とても有名なピアニストが、同じピアノで同じ曲を弾いても、キーシンの音色は誰でも出せる音色ではありません。
そして、上項の感想でも述べましが、「この曲ってこういう意味があって、こんなにもいい曲だったんだ!」と思わせてくれる素晴らしいピアニストであることも改めて感じたのです。
以前のキーシンの自伝本の感想の際にも同じようなことを書いたのですが、キーシンは自己流にアレンジしすぎることなく作曲家の意図や楽譜を忠実に演奏するんです。
なので、その楽曲が持つ本質をとても上手に表現するんですよね。
そこに、キーシンの色がうまい具合に重なってくる。
これが、観客を飽きさせずにむしろ曲の良さをうまく伝えることができている理由ではないかなと思います。
一つ一つの音に無駄がなく、作曲家やキーシンの思いが込められているまさに至極の音色は唯一無二。
演奏を聴いて、心が勝手に踊り出し、体が高揚する感覚を生で実感できて「だから私はキーシンが好きなんだ!!」と心から思い、感動しました。
現代ピアニストの最高峰と言っても過言ではないと思います。
彼の音楽には、言葉では表現しきれないほどの素晴らしい魅力がたくさん詰まっていました。
子供の頃の私にもし会えることができたなら、言ってあげたい。
「キーシンのピアノの音色は、現代でも全く色褪せることなくもっともっと素晴らしいものだったよ。」と。
これからも遠く離れた地で素晴らしい音色を奏で続けるであろうキーシンを、全力で応援していきます!
最後まで、ご覧いただきありがとうございました♪