【書評】フレデリック・ショパン〜その情熱と悲哀〜【リストの著書】

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「ピアノの詩人」として今なお多くの人を魅了し続けるフレデリック・ショパン。

彼の繊細で抒情的な音楽の背景には、どのような人生や想いがあったのでしょうか。

今回ご紹介するのは、ショパンと親交の深かったフランツ・リストが執筆した本フレデリック・ショパン〜その情熱と悲哀〜』。

リスト自身が作曲家・ピアニストとして活躍していたからこそ描けた、ショパンの内面や芸術観が詰まった一冊です。

この記事では、本書を読んで感じたこと印象に残ったエピソードを交えながら、ショパンという人物の魅力に迫っていきます。

今回ご紹介する書籍情報

書名:フレデリック・ショパン〜その情熱と悲哀〜
著者:フランツ・リスト
翻訳:八隅 裕樹
出版社:彩流社
出版年:2021年

この記事を書いている人

アガサ
このブログの運営者及び管理人


3歳からピアノを始め、クラシック音楽歴は30年以上。結婚・出産を経て育児の合間にピアノを再開し、念願のグランドピアノも迎えました。
現在はピアノ教室向けのグラフィックデザイナーとして、全国の先生方をサポートしています。
ピアノとクラシックをこよなく愛する主婦が、音楽やピアノにまつわる情報を気ままに発信中です♪

この記事はこんな方にオススメ!
  • ショパンが大好きで、彼の人物像をもっと深く知りたい方
  • リストとショパンの関係性に興味がある方
  • ピアノを趣味で続けていて、演奏に込められた想いや背景を感じたい方
目次

そもそもショパンとリストの関係って?

フレデリック・ショパンとフランツ・リスト。

ともに19世紀前半のヨーロッパ音楽界を代表する作曲家であり、ピアニストでした。

彼らはまさに“同時代を生きた巨星”でありながら、性格も演奏スタイルもまったく異なる存在でした。

リストは誰もが認める超絶技巧の持ち主で、演奏会では華やかさとカリスマ性を放ち、多くの聴衆を熱狂させました。

一方のショパンは、社交界よりもサロンでの小規模な演奏を好み、詩的で繊細な音の表現に心血を注ぐ“内なる芸術家”だったのです。

そんな二人が、なぜ深い友情を育んだのでしょうか。

それは「音楽」という共通言語によって、互いの違いを乗り越え、尊敬し合っていたからだと考えられます。

リストはショパンの演奏を「囁きのような、夢のような音楽」と称賛し、その繊細なタッチと詩情に心を打たれました。

一方、ショパンはリストの情熱的なパフォーマンスにはやや距離を置いていたと言われますが、作曲家としての構成力や表現力には深い敬意を抱いていたようです。

彼らの関係は、決してただの「仲良し」ではなかったのです。

刺激し合い、時に誤解や距離を生みながらも、芸術を通じて互いを高め合っていた——そんな複雑で、しかし真摯なつながりがそこにはありました。

ショパンの死後、リストは多くの証言や資料を集めて、彼の伝記を書き上げます。

それは、単なる友人への追悼という枠を超えた、「彼の音楽と記憶を後世に遺したい」という強い使命感から生まれたものでした。

この書は、リストという天才が“ひとりの音楽家ショパン”に心から捧げた敬意と愛情の記録でもあります。

リストからショパンへの、深い敬愛の書

最初に本書を手に取ったとき、私はこれをいわゆるリストが書いた「ショパンの伝記」だと思い込んでいました。

たしかに、生い立ちから最期までの人生が丁寧に描かれており、伝記としても非常に読み応えがあります。

しかし、読み進めるうちに気づかされるのは――この本は単なる伝記ではないことに気づきました。

むしろ、リストによるショパンへの深い敬愛を綴った、特別な一冊だということです。

ショパンの音楽や人柄に対するリストの賛辞は、全編にわたって惜しみなく注がれており、その文章には強い感情と詩的な美しさが込められています。

リストの言葉一つひとつから、ショパンに対する尊敬と追悼の想いが伝わってくるのです。

まるで、音楽家から音楽家へ捧げられた心からのオマージュ。

読後には、ショパンという人物だけでなく、リストという人間の情熱にも触れたような余韻が残ります♪

ショパンが育んだ芸術と、その背景

本書の冒頭では、ショパンの故郷であるポーランドについて非常に詳しく紹介されています。

歴史的背景から貴族社会の文化、そしてショパンの代表的な作品であるポロネーズやマズルカがどのような土壌から生まれたのかまで、深く掘り下げられています。

単なる年表的な伝記ではなく、彼の暮らしぶりや周囲の社会情勢まで丁寧に描かれているため、当時の空気感や芸術の息づかいを感じながら読み進めることができるのが魅力です。

ショパンがどのような環境で芸術を育んできたのかを知ることで、彼の音楽に対する理解も一層深まります。

なかでも、共に同時代を生きたベルリオーズや画家ドラクロワといった芸術家たちとの関係性も描かれており、19世紀前半のヨーロッパ芸術界の広がりを感じさせます。

また、著者リストによる芸術観や哲学的な視点も随所に見られ、現代の私たちにとっても示唆に富む内容となっています。

現代に受け継がれるショパンへの想い

本書の第1章で、著者フランツ・リストは次のように述べています。

ショパンの作品が現時点でどれだけ大きな名声を得ていようとも、後世の人々は、間違いなく、それよりもはるかに高く重大な地位を彼の作品にあたえるはずである。

— フランツ・リスト『フレデリック・ショパン〜その情熱と悲哀〜』

この一文を読んだとき、思わず胸が熱くなりました。

ショパンが亡くなってから長い時を経た現代においても、彼の音楽が世界中で愛され続けていることを的確に予言しているからです。

実際、今日の多くの演奏家や聴衆がショパンの繊細で内省的な音楽に心を奪われ、その魅力を感じ取っています。

ショパンの音楽は時代や国境を越え、今もなお多くの人々の心に深く響き続けているのです。

また、本書では、リストが詩的かつ情熱的な言葉で描くショパンの人物像や、彼の芸術に対する真摯な姿勢、祖国ポーランドへの熱い想いが丁寧に綴られています。

これらの描写は、単なる過去の物語ではなく、今も世界中の多くの人々が共感し、受け継いでいるショパンの精神そのものを伝えています。

さらに、ジョルジュ・サンドとの関係や家族、親しい友人たちとの交流など、人間としてのショパンの素顔にも触れられており、彼の生涯が現代の私たちに深い感動をもたらす伝記としての魅力も非常に高い一冊です。

特に晩年の描写には、深い哀しみと敬意が込められており、その想いは時代を超えて現代にしっかりと受け継がれていることを強く感じさせられます。

ショパンの音楽と人生をより深く理解し、その普遍的な魅力と、現代に脈々と続く想いを味わいたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

なぜこの本を手に取ったのか

ショパンは、私にとって特別な存在の作曲家です。

彼の音楽を聴くと、不思議と気持ちが軽くなったり、前向きな気分になれたりと、心にそっと寄り添ってくれるような感覚があります。

これまでにもショパンについて書かれた伝記をいくつか読んできましたが、今回の書籍は「フランツ・リストが書いたショパンの本」と知り、とても興味を惹かれました。

同時代を生きた音楽家のリストが、どのような視点でショパンを描いたのか――その点に強く惹かれて、この一冊を手に取ったのです。

読み進める中で、改めてショパンという人物の魅力と、彼の音楽に込められた感情の奥深さに触れることができました。

彼の作品の背景にある想いや、性格、人生の苦悩を知ったことで、今後ショパンを弾くときのタッチや間の取り方、さらには曲全体の“語り口”まで、意識が変わると思います。

まさに「読むことで演奏に生かされる」、そんな本でした。

この本を読む際には、ぜひショパンの音楽をBGMとして流してみてください。

たとえば《ノクターン》や《マズルカ》など、彼が生涯をかけて生み出した名作の数々を聴きながら読み進めることで、より一層その世界観に浸ることができると思います♪

まとめ

本書は、詩的で美しい言葉遣いが随所に見られる一方で、現代の私たちにとってはやや難解に感じる箇所もあるかもしれません。

ですが、それを補って余りあるほどに、ショパンという人物の内面や時代背景、音楽に対する姿勢が深く描かれており、非常に読み応えのある一冊でした。

フランツ・リストという稀有な音楽家の視点から綴られた内容は、伝記としてだけでなく、ショパンの作品をより深く理解するための貴重な資料としても価値があります!

クラシック音楽やピアノを愛する方、また演奏により深みを加えたいと感じている方にとっても、学びの多い書籍だと感じました♪

今後も、こうした偉大な作曲家たちの足跡に触れられる書籍を、少しずつ読み進めていきたいと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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