【4期って何?】学ぶと素人でも演奏が変わる!ピアノの簡単音楽史♪

皆さんは「ピアノの音楽史」をご存知でしょうか?

とても簡単に言えば、「ピアノ音楽の歴史」のことです。

これを知っているかどうかで、演奏の仕上がりが大きく変わることがあります。

バッハやモーツァルト、ショパンやドビュッシーなど──
彼らの生きた時代や背景を少し知るだけで、曲の雰囲気や弾き方がガラッと変わるんです♪

ピアノを再開した大人の方や、最近ピアノを始めた初心者の方にとっても、「音楽史なんて難しそう…」と感じるかもしれません。

でも安心してください!

この記事では、ピアノでよく使われる「4期(バロック・古典・ロマン・近現代)」に分けて、とてもわかりやすく解説していきます。

「4期」の基本をざっくり押さえるだけでも、表現力がグッと深まり、演奏が一段と楽しくなりますよ(^^)

この記事を書いている人

アガサ
このブログの運営者及び管理人


3歳からピアノを始め、クラシック音楽歴は30年以上。結婚・出産を経て育児の合間にピアノを再開し、念願のグランドピアノも迎えました。
現在はピアノ教室向けのグラフィックデザイナーとして、全国の先生方をサポートしています。
ピアノとクラシックをこよなく愛する主婦が、音楽やピアノにまつわる情報を気ままに発信中です♪

この記事はこんな方にオススメ!
  • バロック、古典、ロマン、近現代の違いをざっくり知りたい方
  • 大人になって再びピアノを始めた「再開組」の方
  • ピアノ教室で「4期」を学ぶように言われたけど、よくわからない方
目次

ピアノ音楽の4期

ピアノ音楽の世界では、西洋音楽を主に4つの時代区分に分けて考えます。

  • バロック
  • 古典派
  • ロマン派
  • 近現代

コンクールなどでも「4期」から課題曲が出されることが多くあります。

それぞれの時代の音楽は、その時代の政治や人々の暮らしと深く関わっているため、音楽の背景を知ることで演奏や聴き方がより豊かになります。

以下で、それぞれの時代区分ごとに、歴史的背景やピアノという楽器がどのように変化してきたかを簡単に説明していきます!

バロック時代(17世紀初頭~18世紀中頃)

バロック時代は、おおよそ17世紀の始めから18世紀の中頃まで、バッハの没年頃までを指します。
日本の江戸時代にあたります。

この時代にはまだ「ピアノ」という楽器は存在していませんでした。

主に使われていたのはチェンバロやオルガンで、どちらも音量が小さく、音色の幅も限られていました。

また、ペダルがなかったため、演奏中に音色を変えることはほとんどできなかったのです。

チェンバロの音色は独特であり、バッハの楽曲をそのまま聴くと、その趣を強く感じることができます。

音楽の背景にも注目すると、当時は王侯貴族が音楽の中心で、音楽家たちは貴族や教会に雇われて演奏や教育を行い、生計を立てていました。

そして、この時代の音楽の特徴としては「ポリフォニー(多声音楽)」が挙げられます。

複数のメロディが重なり合う複雑な構成が主流でした♪

バロック時代の主な作曲家
  • テレマン(ドイツ)
  • ラモー(フランス)
  • ヘンデル(ドイツ)
  • バッハ(ドイツ)
  • スカルラッティ(イタリア)

古典派時代(18世紀中頃~19世紀初頭)

古典派時代はバッハの没年頃からベートーヴェンの没年頃まで、18世紀中頃から19世紀初頭を指します。
日本ではまだ江戸時代が続いていました。

この時代はクラシック音楽の本格的な幕開けの時代と言えます。

楽器もチェンバロから「ハンマークラヴィーア」や「ピアノフォルテ」と呼ばれる、現代のピアノに近い楽器へと進化しました。

ハンマーで弦を叩く仕組みにより、強弱の表現が可能になり、音色が豊かになりました。

これにより、作曲家は繊細な演奏技法を取り入れた楽曲を生み出すことができたのです。

市民階級が政治的にも力を持ち始め、音楽は大衆にも広がり、構造がはっきりしたわかりやすいメロディと伴奏の和声音楽が主流に。

この時代に交響曲や協奏曲、室内楽、ソナタなどの形式が確立されました。

古典派時代の主な作曲家
  • ハイドン(オーストリア)
  • モーツァルト(オーストリア)
  • ベートーヴェン(ドイツ)
  • クレメンティ(イタリア)

ロマン派時代(19世紀初頭~19世紀後半)

ロマン派時代は19世紀初頭から19世紀後半までを指します。
日本では江戸時代の末期から明治時代にあたります。

この時代のピアノは鍵盤数が増え、音域が広がってほぼ現代のピアノと同じ形式になりました。

タッチの強弱で音色を変えたり、音を滑らかにつなげたりできるようになり、作曲家はその特性を活かして自身の感情や思想を音楽に反映させるようになったのです。

また、フランス革命以降のヨーロッパでは芸術が大きく発展し、規則や合理性への反発から独創性や個性を重視する流れが生まれました。

そのため、作曲家たちは古典派の要素を取り入れながらも、新しい独自の音楽様式を確立していきました。

ロマン派時代の主な作曲家
  • シューベルト(オーストリア)
  • ショパン(ポーランド)
  • シューマン(ドイツ)
  • リスト(ハンガリー)
  • グリーグ(ノルウェー)

近現代(19世紀後半~現在)

近現代音楽は19世紀後半から現在に至るまでを指します。
※近現代の定義が研究者によって異なるため、今回は分かりやすいようにざっくりとこのように分けています!
日本では明治時代から大正・昭和・現代までの期間です。

この時代には、音楽に対する自由な思想が次々と生まれ、従来の様式にとらわれない新しい音楽が多く誕生しました。

ヨーロッパだけでなく、ロシアやアメリカなどでも様々な音楽主義が生まれ、無調音楽や複雑なリズム、多様な調性感の変化など多彩な表現が展開されています。

現代のクラシック音楽はメロディがわかりにくいものも多く、慣れるまでは難しく感じるかもしれません。

しかし、自分の感性で好きな曲を見つけて楽しむことが大切です。

近現代の主な作曲家
  • ドビュッシー(フランス)
  • ラヴェル(フランス)
  • スクリャービン(ロシア)
  • カバレフスキー(ロシア)

4期の音楽の弾き分け

4期の音楽についてご理解いただけたところで、次に「実際にどのように弾き分ければよいのか?」を簡潔にお伝えします!

バロック

バロック時代の音楽は、上述した通り右手と左手がそれぞれ独立したメロディーを奏でる「多声音楽(ポリフォニー)」が特徴です。

とくにバッハの作品では、左右の手がまるで会話をするように音を交わしていきます。

以下の画像をご覧ください!

▼バッハ《インヴェンション第1番》冒頭部分(出典:IMSLP)

Public Domain(パブリックドメイン)楽譜を基に筆者が加工/出典:IMSLP(Bach-Gesellschaft Ausgabe, 1853)

※テーマが受け渡されている箇所に色分けや矢印をつけています。

このように、最初は右手で出たテーマが、次の小節では左手に受け渡されています。

まさに「音による対話」といった感じですよね。

私はバッハの曲やバロック時代の曲を練習するとき、まず右手だけでテーマをしっかり歌わせるように練習します。

そのあと左手を加えて、どこでテーマが入れ替わるかに印をつけながら、意識的に両手をバランスよく合わせていきます。

最初はなかなか難しく感じましたが、「この声部は誰がしゃべってる?」と考えるようになってから、多声音楽の面白さがわかってきました!

古典派

古典派の音楽は、ソナタやソナチネなど、形式の美しさを大切にした作品が多いのが特徴です。

全体構成や調性の移り変わりに注目して弾くと、作品の魅力がぐっと深まります。

ソナタ形式の流れ

こうした全体像をイメージしておくと、どこに向かって曲が進んでいるのかがつかみやすくなり、フレーズごとの意味や役割もより明確になります

私の場合は、演奏前にまずこのような形式をざっくり頭に入れてから、楽譜をじっくり読み込みます。

とくに転調や再現部では、「この場面でどんな音色を使えば調性の変化が伝わるか?」といったことを意識して、タッチやペダルの使い方を調整しています。

また、繰り返し部分は全く同じに弾くのではなく、微妙にニュアンスやダイナミクスを変えてみたり──。

そうすることで、形式美の中にも生きた音楽の表情が生まれてくるように感じます♪

ぜひ試してみてください。

ロマン派

ロマン派以降の楽曲には標題が付けられていることが多く、曲のイメージをつかみやすくなっています。

作曲家が描こうとした情景や感情を想像しながら、自分自身の気持ちも重ねて表現することが大切です。

演奏の解釈には自由度があり、形式にとらわれず、自分らしい表現を楽しめるのもロマン派音楽の魅力です♪

私がロマン派の曲を弾くときは、まず標題や背景を調べて、そこから浮かぶ情景を頭に描くようにしています。

練習では感情の起伏を丁寧に表現できるよう、強弱やテンポの揺れを細かく調整しながら弾くことも。

時には大胆にテンポを動かしたり、思いきり歌うようにメロディーを奏でたりと、自分の感性を存分に活かせるよう工夫しています。

こうした自由な表現の積み重ねが、ロマン派の世界をより深く味わう鍵になっていると感じています。

近現代

近現代の曲は調性があいまいだったり、リズムが複雑だったりと、最初はとっつきにくく感じるかもしれません。

でも、しっかり向き合って練習を重ねることで、非常に聴き応えのある魅力的な作品に仕上がるのがこの時代の音楽です。

奇抜な音使いや予想外の展開も、すべて作曲者の意図

楽譜に忠実に向き合いながらも、自分の感覚を大切にして演奏することが求められます。

私自身、近現代の曲を弾くときは、まず調性の曖昧さや響きの不思議さに耳を慣らすところから始めています。

一音一音の響きを確かめながら丁寧に弾き、左右の手のバランスにも特に注意しています。

また、リズムやフレーズの不規則さに自然に乗れるよう、テンポや強弱の調整も何度も試しています。

時間はかかりますが、その分だけ音楽の世界観がじわじわと見えてきて、自分なりの解釈で表現できるようになるのが近現代作品の面白さだと感じています♪

まとめ

今回は音楽史の4期と、それぞれの時代ごとの弾き分けについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

音楽の歴史を知ることで、時代ごとの独自の特徴や魅力を改めて感じられると思います。

私たちが日常的に演奏しているクラシックのピアノ曲も、こうした歴史の流れの中で生まれ、今も愛され続けていると思うと、とても感慨深いですよね。

どの時代にどのような背景で生まれた曲なのかを少しでも理解しておくと、演奏のイメージがぐっと湧きやすくなります。

そして、それぞれの時代の曲を弾き分けられるようになれば、あなたもピアノの表現力が大きく広がるはずです。

ぜひ今回の内容を参考にして、演奏の幅を広げ、ますます音楽を楽しんでいただければ嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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