大人になってからピアノを再開した方、趣味でピアノを楽しんでいる方へ——
今回は、そんな“大人のためのピアノ曲”としてぜひおすすめしたい楽譜《ピアノの叙情詩(Lyric Moments)》をご紹介します。
作曲者は、アメリカの現代作曲家キャサリン・ロリン(Catherine Rollin)。
私が子どもの頃はまだあまり知られていませんでしたが、今では発表会やレッスンでも頻繁に取り上げられる人気作曲家となりました。
ロリンの作品は、子ども向けの教材としても有名ですが、実は“大人ピアノ”との相性も抜群。
情緒豊かで耳なじみの良いメロディーが多く、初中級レベルでも十分に音楽的な魅力が味わえるのが大きな特徴です。
今回は特に、大人のピアノ愛好家にぴったりの一冊《ピアノの叙情詩》を軸に、ロリンの音楽の世界をご紹介します!
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アガサ
このブログの運営者及び管理人
3歳からピアノを始め、クラシック音楽歴は30年以上。結婚・出産を経て育児の合間にピアノを再開し、念願のグランドピアノも迎えました。
現在はピアノ教室向けのグラフィックデザイナーとして、全国の先生方をサポートしています。
ピアノとクラシックをこよなく愛する主婦が、音楽やピアノにまつわる情報を気ままに発信中です♪
- 大人の趣味ピアノにぴったりの楽譜を探している方
- キャサリン・ロリンという作曲家についてもっと知りたい方
- ギロックが好きで、似た雰囲気の曲を探している方
キャサリン・ロリンってどんな人?

キャサリン・ロリンは、アメリカの作曲家でありピアニスト、そして音楽教師でもあります。
彼女を語るうえで、絶対に外せないのが彼女の師匠であるウィリアム・ギロックの存在です。
アメリカ・ニューオリンズでピアノ教師を務めながら、多くのピアノ曲を世に残した作曲家。
作曲活動だけでなく、コンクールの審査員や音楽教師のユニオンの役員、講師としても活躍。
生前のギロックは、生徒たちの音楽会に快く出向いて励ます良き師であり、その温かい人柄から多くの人に愛され、尊敬されていた。
音楽教育分野における作曲の第一人者で、メロディーの美しさから「教育音楽作曲界のシューベルト」とも呼ばれている。
ロリンがギロックに出会ったのは1984年、全米音楽家協会のイベントにて。
ずっとファンだったギロックに自分の演奏を聴いてもらい、作曲の道を勧められたことがきっかけで、翌年には初の楽譜が出版されます。

1年後に出版できるなんて、本当にすごい才能ですよね!
以後、ギロックはロリンの良きアドバイザー・友人となり、彼女の作曲活動に深い影響を与えました。
そして、ギロックとの親交を通じて、ロリンは自分の信念を確かなものにしました。
それは「メロディーとリズムには、人の心に深く語りかけ、感情を豊かに表現する力がある」ということ、そして「音楽は、弾く人自身がワクワクしながら、自分の気持ちを音に乗せたくなるものであってほしい」という願いです。
こうした信念が、ロリンの作品にはしっかりと込められています。
この思いに基づき、彼女は多くの素晴らしい楽曲を世に残しました(^^)
ロリン作品の魅力とは?


キャサリン・ロリンの作品は、教育的でありながら音楽的な満足感が高く、「弾いて楽しい・聴いて心地よい」バランスのとれた楽曲が多いのが特徴です。
大人ピアノ愛好家におすすめできるロリン作品の魅力4つをご紹介します♪
メロディアスで感情を込めやすい
ロリンの楽曲は、旋律が耳に残りやすく、自然と感情を込めて弾きたくなるような流れを持っています。
テクニック的に無理なく弾ける範囲で、内面の表現を楽しめるのが大きな魅力です。
難易度が初級〜中級で取り組みやすい
譜読みしやすく、難しすぎない構成で、独学や久しぶりのピアノ再開でも安心して取り組めます。
「練習しながら楽しめる」レベル感は、モチベーション維持にも効果的です。
短く完結していて達成感が得られる
1曲が1〜2ページで完結していることが多く、短期間でも「1曲仕上げる喜び」を味わえます。
時間の限られた大人にとって、無理なく仕上がる構成は大きな魅力です。
タイトルからイメージが広がる
曲名には「サマーを思う」「愛のテーマ」など、日常の情景や感情が込められており、演奏前からイメージが膨らみます。
物語を描くような演奏体験が、ピアノをより豊かにしてくれます。
おすすめ楽譜《ピアノの叙情詩(Lyric Moments)》とは?


キャサリン・ロリンの作品の中でも、とくに人気が高いのが《ピアノの叙情詩(Lyric Moments)》です。
この楽譜集には、全16曲の短く情感豊かな小品が収められており、それぞれが日常の風景や心の動きを音楽で描いています。
曲ごとに異なるテーマを持ちつつ、全体としてロマンティックで親しみやすい世界観が統一されているのが特徴です。
まるで「小さな物語をピアノで語る」ような気持ちで演奏できます。
初心者〜中級者にとって、無理のないテクニックで音楽的表現が楽しめるこの作品集は、独学の方や再開組にも特におすすめです。
私のおすすめ曲:「サマーを思う(Thinking of Summer)」
この曲は、私がロリン作品に初めて触れた一曲でもあります。
タイトルの柔らかい響きに惹かれて楽譜を開き、最初のメロディーを弾いた瞬間、不思議と懐かしいような、やさしい気持ちに包まれました。
ロリンの娘さん「サマー」さんに向けた楽曲でもあります。
具体的には、こんな魅力を感じました。
- 和音が複雑すぎず、音数も適度
手の小さな方や久しぶりの方でも、無理なく指が動かせます。 - 旋律が自然で心にスッと入ってくる
派手さはありませんが、じんわりと胸に響くメロディーです。 - 曲の構成がコンパクトで、達成感がある
数ページで完結しているため、少しずつ練習しても完成までの道のりが見えやすいです。
実際、ピアノからしばらく離れていた私でも、練習を楽しみながら1曲を無理なく仕上げることができました。
「またピアノを弾きたい」と思えたきっかけの曲でもあり、同じように再スタートを切る方にぜひ弾いてみてほしい一曲です。
♪
曲リストと難易度の目安


キャサリン・ロリンの《ピアノの叙情詩(Lyric Moments)》には、全16曲が収録されています。
どれも短く、やさしいテクニックで弾ける曲が多いため、初心者やブランクのある大人にもおすすめできる構成になっています。
ここでは、各曲のタイトルと難易度の目安(★3段階)を一覧でご紹介します。
★☆☆・・・初心者さんにオススメ!
★★☆・・・初心者さんには少し難しいけど頑張れば弾ける!ピアノ再開組はすぐ弾ける
★★★・・・初心者さんは難しいと感じるレベル。再開組さんは少し練習すればいける
全曲タイトルと難易度は以下の通りです!
- 心のスペシャル・プレイス・・・★★☆
- スウィート・メモリーズ・・・★★☆
- サマーの夢・・・★★☆
- やさしさにつつまれて・・・★★★
- あなたへの歌・・・★★☆
- サマーのノクターン・・・★★★
- 子もり歌と夢の国・・・★★★
- サマーを思う・・・★★★
- ときめき・・・★★☆
- 空想・・・★★☆
- ほんとうの喜び・・・★★☆
- 愛のテーマ・・・★★☆
- 悲歌・・・★★☆
- 大草原のような愛・・・★★★
- すてきな気もち・・・★★☆
- 初めての悲しみ・・・★☆☆
「初めての悲しみ」「愛のテーマ」などは、音数が少なくてシンプルな構成なので、読譜力にまだ自信がない方でも安心して取り組めます。
「心のスペシャル・プレイス」「スウィート・メモリーズ」などは、やさしい中にも情感があり、表現の楽しさを味わえる曲ばかりです。「弾けるようになってよかった」と思えるような満足感があります。
実際の演奏動画も公開中!
ここでは、私(アガサ)が実際に演奏・撮影・編集した《ピアノの叙情詩(Lyric Moments)》の演奏動画をいくつかご紹介します。
キャサリン・ロリンの作品が持つ美しいメロディーと情感を、ぜひ音でも感じてみてください♪
ほんとうの喜び(Simple Pleasures)難易度:★★☆
楽しく朗らかな気持ちを表現したこの曲も、ロリンの良さが詰め込まれています。
華やかな明るい曲もあれば、切なく胸を締め付けられるような曲もあり飽きることなく丸ごと1冊楽しめると思います♪
愛のテーマ(Love Theme)難易度:★★☆
美しく暖かな気持ちになれる、ロリンの人気曲です♪



ご紹介した動画以外にも、キャサリンロリンの楽曲や他の作曲家の楽曲等も投稿しているので、管理人アガサのYouTubeご興味のある方は是非ご覧くださいね♪
まとめ


キャサリン・ロリンは、教育的配慮がなされた中にも情緒的な美しさを感じられる作品を数多く残しており、大人の趣味ピアノにも最適な作曲家です。
なかでも《ピアノの叙情詩(Lyric Moments)》は、
- 初心者やブランクのある方でも無理なく取り組める
- 曲ごとに異なる情景を通じて、表現力が自然に育まれる
- コンパクトな構成で、1曲ずつ達成感を味わえる
といった点で、特に再開組や独学派の方におすすめできる一冊です。
ロリンのやさしく心に響く音楽を通じて、「また弾きたい」「もっと表現したい」と思えるような、豊かであたたかいピアノ時間を楽しんでいただけたら嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました♪