【前編】第5回高松国際ピアノコンクール|1次〜3次審査の感想

2023年2月に開催された「第5回高松国際ピアノコンクール」

香川県という地方都市で行われるにもかかわらず、国内外から実力派が集まり、毎回ハイレベルな演奏が繰り広げられる注目のコンクールです。

今回は1次から3次審査までを中心に、配信で鑑賞しました。

本記事では、そのステージの印象と、特に記憶に残った出場者たちの演奏について、五十音順で振り返ります♪

ファイナルや受賞結果については、後編の記事で詳しくご紹介します。

この記事を書いている人

アガサ
このブログの運営者及び管理人


3歳からピアノを始め、クラシック音楽歴は30年以上。結婚・出産を経て育児の合間にピアノを再開し、念願のグランドピアノも迎えました。
現在はピアノ教室向けのグラフィックデザイナーとして、全国の先生方をサポートしています。
ピアノとクラシックをこよなく愛する主婦が、音楽やピアノにまつわる情報を気ままに発信中です♪

この記事はこんな方にオススメ!
  • 高松国際ピアノコンクールの注目ポイントを知りたい
  • 配信を見逃したけどダイジェストで様子を知りたい
  • 実際に聴いた人の感想や注目の出場者をチェックしたい
  • 他の国際コンクールとの違いを知りたい
目次

コンクールの印象(第1次〜第3次)

自由度の高い選曲が可能なため、参加者それぞれの個性が強く表れ、完成度も非常に高かった印象です。

演奏者は、曲の構成力や自身の音楽的な姿勢をじっくり示す場となりました。

静かな内省的な表現から力強い構築的な演奏まで、多彩なアプローチが目立ちましたね。

審査基準としては、技巧の華やかさよりも「落ち着きのある音楽表現」や「作品の構築力」、「響きの美しさ」が重視されている印象です。

このため、派手さよりも深みのある音色や内面的な表現に高い評価が集まったように思います♪

印象に残った方(五十音順)

第1次審査から第3次審査までを見て、印象に残った方をあげていきます。

あくまで私の個人的な感想です!

青島 周平/Shuhei AOSHIMA(日本)

青島周平さんは第3次審査でフォーレの四重奏曲第1番を弾いて、とっても印象に残りました!

まっすぐで誠実な演奏が魅力で、まるでオーケストラのような迫力と滑らかさもあって、聴いていてすごく気持ちよかったです。

個人的には、フォーレの曲を弾いた中でも青島さんの演奏が一番好きでした♪

正統派の実力派ピアニストという感じですね。

これからの本選ではサン=サーンスの協奏曲第5番を披露してくれるので、非常に楽しみです!

岩井 亜咲/Asaki IWAI(日本)

東京藝術大学に在学中で、2021年のショパンコンクールにも挑戦した岩井さん。

今回は第2次審査まで進みましたが、惜しくも次のステージには進めませんでした。

それでも、彼女の演奏はとても印象的。

ピアノの音色が繊細で、聴く人の心にすっと染み込む感じがありました。

高い技術はもちろんですが、彼女の優しく上品な雰囲気がそのまま演奏に表れていて、自然と引き込まれました。

第1次審査で演奏したフランスの作曲家デュティユーのソナタは幻想的で美しく、特に心に残っています。

これからのさらなる成長と活躍が楽しみなピアニストです♪

小井土 文哉/Fumiya KOIDO(日本)

小井土さんの第1次審査でのスクリャービン、本当に極上の演奏でした!

彼の音楽には何と言っても『おしゃれ』な魅力があります。

難しい曲をただ弾くだけでなく、しつこくならず、間延びもしない、ちょうど良い余裕を感じさせる『おしゃれさ』が抜群でした。

これは基礎力や技術はもちろん、豊かな経験や発想力、柔軟な表現力があってこそ成り立つものです。

まるでリサイタルを聴いているような心地よさで、ついドキドキしてしまうほどでした(笑)。

第2次審査で披露したブラームスも素敵で、聴く者を酔わせる魅力がありました。

残念ながら第3次審査には進めませんでしたが、このコンクールで彼のファンは確実に増えたはずです。

Philipp LYNOV/フィリップ・リノフ(ロシア)

見事、本選に進出したフィリップさんは、2019年のパデレフスキ国際ピアノコンクールで優勝した経歴を持つ実力派ピアニストです。

彼の演奏は指の動きが非常に軽やかで、とても安定感がありました。

コンクールでは緊張で本来の力を出せない演奏者も見受けられましたが、フィリップさんは最後まで落ち着いており、聴く側も安心して聴き入ることができました。

第3次審査では、偶然にもロシア勢3名がブラームスの四重奏曲を選びましたが、その中でもフィリップさんの演奏は重すぎず上品で、心を惹きつけるもので素晴らしかったです♪

Nail MAVLIUDOV/ナイール・マヴリュードフ(ロシア)

ナイールさんは第3次審査を見事に通過し、本選に進出しました。

特に印象的だったのは、第3次審査の課題曲「陸に浮かぶ船」の演奏です。

この曲は今回のコンクールのために坂東祐大さんが作曲したもので、演奏者ごとに個性豊かな解釈が光る作品です。

その中でもナイールさんの演奏は、ダイナミックでありながら繊細さも兼ね備え、聴く人の心を強く揺さぶる素晴らしいものでした!

演奏だけでなく、ナイールさんの落ち着いた雰囲気も印象的♪

Mariia NARODYTSKA/マリア・ナロジツカ(ウクライナ)

マリアさんも見事に本選進出を果たしました!

第1次審査からずっと応援していたので、本当に嬉しいです。

彼女の音色はどこか温かみがあり、耳にすっと馴染んで心に染み渡るような魅力があります。

どの曲も感動的に演奏していて、特に第2次審査の『魔王』は強烈な印象を残しました。

コンクールで『魔王』が聴けるとは思わず、重低音が心に響き渡りました。

第3次審査でのシューマンの四重奏曲も、情感豊かに表現されていて非常に感動的でした。

本選ではベートーヴェンの「皇帝」協奏曲を演奏されるとのことで、彼女の「皇帝」がどんな仕上がりになるのか、今から楽しみです。

西本 裕矢/Yuya NISHIMOTO(日本)

地元・香川県出身の西本さんも見事に本選進出を果たしました!

彼の演奏はまさに正統派で純粋そのもの。若さあふれるキレの良さがあって、聴いていてとても爽快でした。

第1次審査でのストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」は、抜群のリズム感と絶妙な軽やかさで、思わずリズムに乗ってしまうほど。

第3次審査のベートーヴェン「熱情」も、メリハリの効いた迫力ある演奏で聴きごたえ十分でした。

室内楽の四重奏曲ではシューマンを選び、演奏中によく室内楽の仲間を見て息を合わせている様子が微笑ましかったです。

ラストの切れ味鋭いフィナーレには、思わず画面の前で拍手したくなるほどの爽快感がありました。

演奏後も謙虚で、室内楽メンバーに先に退場を促すなど譲り合う姿が印象的でした。

非常に好感の持てる、誠実な若手ピアニストです。

室内楽演奏の中でも特に印象に残る一番のお気に入りでした。

1次から3次まで、西本さんにぴったり合った曲選びも光っていました。

本選ではラフマニノフの協奏曲第3番を演奏されるとのことで、オーケストラと共に繰り広げる彼の演奏が今から楽しみです。

山縣 美季/Miki YAMAGATA(日本)

個人的に大注目していた山縣さんは、第5回高松国際ピアノコンクールの開幕前からずっと応援していました!

第3次審査までは進んだものの、惜しくも本選進出は叶いませんでした。

第1次審査でのシマノフスキの変奏曲は本当に圧巻で、力強さの中に可憐さや優雅さが共存する魅力的な演奏でした。

高い技術力に裏打ちされ、終始落ち着いた演奏が印象的でした。

そして、舞台衣装も個性的で印象的でした♪

真っ白なドレスではなく、バンツスタイルで魅せるおしゃれなセンスも見逃せません^^

第2次審査では、2022年に特に力を入れて勉強してきたというシューベルトのソナタを披露。

緩急のメリハリがしっかり効いていて、こちらも聴き応えたっぷりの素晴らしい演奏でした。

個人的には彼女のピアノ協奏曲を生で聴ける日を楽しみにしていただけに、本選に進めなかったのは残念ですが、まだまだ若い才能あふれるピアニスト。

これからもきっと素敵なチャンスがたくさん巡ってくるはずです。

引き続き応援していきたいと思います!

まとめ

今回のコンクールは、予選の第1次審査から非常にレベルが高かったと感じました。

実力派のピアニストが多く集まり、その中で本選に進めるのはわずか5名だけ!

コンクールの厳しさを改めて実感させられました。

予備審査から予選へ進むだけでも、すでに素晴らしい成果だと思います。

審査員の好みや大会の特色も影響するため、優勝者が誰になるかはまだ予想がつきませんが、個人的には日本から参加している青島さんと西本さんにぜひ頑張ってほしいと応援しています♪

本選はチケットを確保しているので、現地で最後までコンクールの熱気を直接感じたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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