お子さんがピアノを習っていて、ある程度続けていると、先生から「そろそろコンクールに出てみませんか?」と声をかけられることもあるかもしれません。
でも、親としては「発表会と何が違うの?」「うちの子に向いているのかな?」と不安になるのも自然なことです。
ピアノのコンクールは、ただの演奏の場ではなく、評価がつき、順位がつく“特別な経験”。
そのぶん得られるものも大きいですが、向き・不向きや家庭の考え方も大切です。
この記事では、発表会とコンクールの違いを整理しながら、コンクールに出ることのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
お子さんの今の状況や性格に合わせて、無理なく前向きに判断するための参考になれば嬉しいです♪
この記事を書いている人

アガサ
このブログの運営者及び管理人
3歳からピアノを始め、クラシック音楽歴は30年以上。結婚・出産を経て育児の合間にピアノを再開し、念願のグランドピアノも迎えました。
現在はピアノ教室向けのグラフィックデザイナーとして、全国の先生方をサポートしています。
ピアノとクラシックをこよなく愛する主婦が、音楽やピアノにまつわる情報を気ままに発信中です♪
- お子さんがピアノを習っていて、コンクールへの参加を考えている保護者の方
- コンクールに出ることのメリット・デメリットを客観的に理解したい方
- お子さんの性格や成長に合ったピアノの取り組み方を見極めたい方
発表会とコンクールの違い

まずは、よく比較される「発表会」と「コンクール」の違いについて整理しておきましょう!
どちらも子どもがステージに立って演奏する大切な機会ですが、その性格や目的、取り組み方にははっきりとした違いがあります。
「発表会は楽しく、コンクールは真剣勝負」といったイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、それぞれにしかない良さがあり、どちらが向いているかはお子さんの性格やピアノの取り組み方によっても異なります。
以下では、「目的」「練習の取り組み」「当日の雰囲気」という3つの観点から具体的に見ていきましょう。
目的の違い
まず、発表会は日々のレッスンで学んできたことの成果を、家族や関係者の前で披露する場です。
拍手やあたたかいまなざしに包まれて、音楽を楽しむことが主な目的とされており、子どもにとっては「舞台に立つ喜び」を味わえる貴重な経験です。
一方で、コンクールは「審査されること」を前提とした舞台。
一定の審査基準があり、演奏の完成度や表現力、技術力などが評価され、順位や賞がつくことがほとんどです。
そのため、演奏にはより厳密さや説得力が求められます。
「成果発表の場」としての発表会と、「実力を試す場」としてのコンクール。
両者の目的が異なることで、得られる経験の質も大きく変わってきます。
練習の質や量の違い
発表会に向けた練習では、ある程度自由度があり、その子のレベルや好みに合わせて曲を選んだり、「今できること」を大切にしたりする傾向があります。
多少ミスがあっても気にせず、自信を持って弾けることが重視されます。
コンクールの場合は、限られた課題曲の中から選ぶケースが多く、完成度の高い演奏を目指すため、練習量は自然と増えていきます。
音の粒立ち、リズムの正確さ、ペダリング、フレージングなど、細かい部分まで丁寧に仕上げていくことが求められるため、練習に対する集中力や継続力も必要です。
また、同じ曲を何カ月もかけて弾き込むことで、音楽の深さや繊細な表現力を養えるという点では、子どもの成長にとって大きなプラスにもなります。
当日の雰囲気や形式の違い
発表会の本番は、親御さんやお友達、先生など身近な人たちが客席に並び、あたたかく見守ってくれるような、ほのぼのとした空気の中で行われることがほとんどです。
演奏の前後も、緊張というよりは「楽しかった」「頑張ったね」という感想が飛び交い、リラックスした雰囲気が流れます。
コンクールはその逆で、会場全体が静かで張り詰めた空気感に包まれています。
ステージ上の子どもにとっては、観客席に並ぶ審査員の存在がプレッシャーになり、良い意味での「本番の緊張感」を味わう機会となります。
また、服装や髪型、入退場の所作まで含めて「見られる」意識が強くなるため、身だしなみや礼儀作法も自然と身についていくという面もあります。
コンクールに出るメリット

コンクールに参加することで得られるものは、単なる賞や順位だけではありません。
日々のレッスンや練習の中では得られないような成長や気づきが、挑戦を通じて生まれることがあります。
ここでは、特に実感しやすい以下の3つのメリットをご紹介します。
- 明確な目標ができる
- 集中力と表現力が高まる
- 他の演奏を聴いて刺激を受けられる
明確な目標ができる
日々の練習は、目標がないとどうしてもダラダラしてしまいがちです。
ですが、「◯月のコンクールでこの曲を演奏する」とゴールが明確になることで、練習のモチベーションがぐんと上がります。
「あと何週間でここまで仕上げよう」「このフレーズをもっときれいに弾けるようにしたい」など、自分の課題を意識しながら、計画的に取り組む姿勢が自然と身につきます。
明確な目的をもって努力する経験は、ピアノ以外の場面でも役立つ貴重な力になるのでとても良い経験ができます♪
集中力と表現力が高まる
審査員の前で演奏するとなると、自然と1音1音に対する意識が高まり、普段の練習よりもずっと集中して音と向き合うようになります。
小さな音の違いやテンポの揺れ、フレーズのまとまりなど、細かいところまで丁寧に仕上げる必要があるからです。
また、単に正確に弾くだけではなく、自分なりの表現や音楽の流れにも意識を向けるようになるため、演奏全体の質が大きく向上します!
このような「細部まで気を配る練習」は、ピアノの技術だけでなく、集中力や持続力の面でも子どもを大きく成長させてくれますよ♪
他の演奏を聴いて刺激を受けられる
コンクールでは、自分と同じ年齢やレベルの参加者の演奏を聴く機会があります。
同じ曲でもまったく違う表現だったり、知らない曲を魅力的に弾いている人がいたりと、たくさんの刺激を受けられます。
「あの子のペダルの使い方がすごくきれいだった」「もっと自由に表現していいんだな」と、目で耳で感じることが多く、学ぶことがたくさんあります。
普段のレッスンだけでは得られない“外の世界”を知ることは、音楽への関心や向上心を育むうえでもとても大切な経験です。
コンクールに出るデメリット・注意点

ンクールには多くのメリットがありますが、一方で注意すべき点もいくつかあります。
子どもにとって良い経験になるかどうかは、取り組み方やその時の状況によっても変わってきます。
「出たら必ずプラスになる」というわけではなく、負担やプレッシャーが強すぎると逆効果になることも。
ここでは、コンクールに参加する際に意識しておきたいリスクやデメリットについて整理しておきましょう。
以下の3点にまとめましたので、みていきましょう♪
- 結果が出ることでのプレッシャー
- 費用や準備にかかる負担
- 子どもの性格によっては逆効果も
結果が出ることでのプレッシャー
コンクールでは、演奏に対して点数や順位、賞などの評価がつきます。
これはモチベーションにつながる一方で、「落ちたらどうしよう」「いい賞が取れなかったら恥ずかしい」といったプレッシャーを強く感じてしまう子もいます。
特に真面目で完璧を求めがちな性格の子ほど、結果に対する不安や自信喪失に繋がりやすい傾向があります。
また、結果ばかりに目がいってしまうと、本来の目的である「音楽を楽しむ」「成長する」ことが置き去りになってしまうことも・・・。
子ども自身の受け止め方や、性格に応じた声かけやフォローが必ず必要です!
費用や準備にかかる負担
コンクールに出るには、参加費や会場への交通費、衣装代、DVD代など、経済的な負担がかかります。
また、レッスン回数を増やしたり、別の先生のレッスンを受けたりする場合は、レッスン代の負担も大きくなります。
それに加え、課題曲を仕上げるための練習時間の確保や、家族のスケジュール調整など、精神的・時間的な面でも負担がかかるもの。
こうした現実的な面もしっかり把握しておくことが大切です。
子どもの性格によっては逆効果も
コンクールは、向上心や集中力を高めるきっかけにもなりますが、すべての子にとってプラスになるとは限りません。
競争が苦手な子、極端に緊張しやすい子、自信を失いやすいタイプの子にとっては、コンクールの雰囲気や結果によって「ピアノはつらいもの」と感じてしまうリスクもあります。
無理に参加させることで、ピアノそのものへの意欲が下がってしまうこともあるため、その子の性格や状態をよく見極めたうえで判断することが大切です。
どんな子に向いている?

コンクールは、ピアノを習っているすべての子に適しているわけではありません。
向いている子・そうでない子の傾向があるのも事実です。
「上手だから出す」「年齢的にそろそろ」という判断だけではなく、その子の性格や今の成長段階に合っているかどうかを見極めることが大切です。
ここでは、コンクールに比較的向いていると考えられるタイプの特徴を3つ紹介します。
- 向上心を持てるタイプの子
- 本番を楽しめる子
- 保護者のサポートが得られる環境
向上心を持てるタイプの子
「もっと上手になりたい」「こうすればよくなるかも」と、自分から前向きに課題に取り組める子は、コンクールのような場でぐんと伸びやすい傾向があります。
結果がどうであっても、次につながる学びを見つけたり、自分の演奏を冷静に振り返ったりできる子は、コンクールという「成長のチャンス」をしっかり活かせるでしょう♪
また、講評や他の演奏から刺激を受けて、自分なりに工夫しようとする姿勢があると、より実りある経験になります。
本番を楽しめる子
人前での演奏があまり苦にならず、「本番が楽しい」「聴いてもらえるのがうれしい」と感じられる子もコンクールに向いています♪
もちろん緊張はあるものの、それをポジティブなエネルギーに変えられるタイプであれば、プレッシャーも成長の糧になります。
また、本番での達成感や成功体験がその後のモチベーションにもつながるため、場数を踏むことが良い経験となります。
保護者のサポートが得られる環境
コンクールでは、本人の努力だけでなく、周囲の理解とサポートも大きな要素になります。
送り迎えや日程調整、練習の見守りや声かけなど、保護者のサポート体制が整っていることで、子どもも安心して取り組むことができます。
また、結果に一喜一憂せず、子どもの努力や成長に目を向けられる大人の関わりがあることは、コンクールを良い経験にするための重要なポイントです!
コンクールをうまく活用するには

コンクールは、取り組み方次第で子どもの成長にとって非常に大きなプラスになります。
ただし、準備の過程や本番の体験をどう位置づけるかによって、その価値は大きく変わってきます。
順位や賞だけにとらわれず、学びや成長のきっかけとして活用するために、大人が意識しておきたいポイントを以下の3点にまとめたので紹介します。
- 結果より過程を大事にする
- 先生・親子の連携を密に
- 無理のないタイミングと回数を選ぶ
結果より過程を大事にする
コンクールの結果は、実力だけでなくその日の調子や審査員の評価基準など様々な要素に左右されます。
だからこそ、大人は「どれだけ努力したか」「どんなところを改善できたか」といった過程にしっかり目を向けたいものです。
結果が良くても悪くても、過程に価値があったと思えることで、子どもは自信を持って次の目標に進むことができます♪
これは、過去に私自身が娘のコンクールで学んだ大事なことでもあります。
もしご興味がありましたら、ぜひ以下の記事を読んでみてくださいね^^

先生・親子の連携を密に
レッスンでの指導と家庭でのサポートがうまくかみ合うことで、コンクールへの取り組みもスムーズになります。
疑問や不安があれば早めに先生と相談したり、練習の様子を共有することで、お互いの理解が深まり、子どもの状態に合わせたサポートがしやすくなります!
また、親子でのコミュニケーションも大切です^^
無理なく、前向きに取り組める雰囲気をつくることが、何よりの後押しになります。
無理のないタイミングと回数を選ぶ
すべての子が、毎年コンクールに出る必要はありません。
学校や他の習い事とのバランス、心身の成長段階、家庭の状況などをふまえて、「今、出ることに意味があるか?」を見極めることが大切です。
また、回数を重ねすぎて疲れてしまったり、練習が義務になってしまっては逆効果です。
無理のないペースで、必要なタイミングにしぼって参加することで、質の高い経験になりますよ♪
まとめ

ピアノコンクールは、子どもにとって大きな成長のチャンスになる一方で、取り組み方を間違えるとプレッシャーや負担になってしまうこともあります。
大切なのは、「コンクールに出ること」そのものではなく、それをどう経験し、どう次に活かしていけるか。
子どもの性格や成長の段階に合わせて、その子に合った関わり方を見つけながら、音楽との良い関係を築いていけるといいですね♪
最後まで、ご覧いただきありがとうございました^^