【数字で見るショパコン予備予選】課題曲・使用ピアノの傾向を分析!

アガサ

モインモイン!皆さん、こんにちは♪
ピアノ大好き主婦で管理人のアガサです^^

2025年のショパン国際ピアノコンクール・予備予選には、世界中から162人のピアニストが集まり素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

演奏された曲目や使われたピアノはさまざまで、それぞれに個性がありましたが、実はよく見ると「人気の曲」や「意外と少なかった曲」、さらには「ピアノの選ばれ方」にもある程度の傾向が見えてきました!

今回は、そんな予備予選の全演奏をもとに、選曲や使用ピアノの傾向を数字とともにまとめてみました♪

合わせて演奏者の国籍などもまとめています。

10月からのショパン国際ピアノコンクールを、もっともっと楽しむための“統計で見る予備予選”、ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです^^

この記事の内容は、すべて管理人が独自に集計・分析したものです。一部に集計誤りなどが含まれる可能性もありますので、その点ご了承ください。また、グラフや集計結果、分析内容などの無断転載・コピーはご遠慮いただけますと幸いです。

目次

【比較①】参加者が選んだピアノは?人気メーカー徹底比較!

今回の予備予選では、使用ピアノにスタインウェイを選んだ参加者が162人中126名(全体の約77.8%)と、圧倒的多数を占める結果となりました!

さすが、世界のスタインウェイですね〜^^

一方、ヤマハを選んだのは36名(約22.2%)

いずれも世界的なブランドですが、この数字だけを見ると「やっぱりスタインウェイが強いな」という印象ですね。

スタインウェイは、濁りのない明瞭な音色と、ホールの隅々まで響く豊かな遠達性が特徴で、国際コンクールでも長年にわたり高い支持を集めています。

一方ヤマハは、明るく華やかな音色とまろやかな響きが魅力で、ファンからは根強い人気があります。

次に、日本参加者はどちらのピアノを選んだのかも見ていきましょう!

日本からの参加者21人のうち、スタインウェイを選んだのは17人(約81%)ヤマハを選んだのは4人(約19%)という結果になりました。(※二重国籍の方は、今回は含めていません)

ヤマハは日本製でありながらも、やはり国際舞台ではスタインウェイの明瞭で遠くまで響く音が支持を集めていることがわかりますね。

日本だからヤマハをみんな使うのかな?と思われる方も多いかもしれませんが、そういうわけではありません。

あくまでもピアノの音色や選んだ課題曲との相性、そしてホールの響きなど全てを加味した上で皆さん選定されておられると思います♪

とはいえ、ヤマハの明るく反応の良いタッチを選ぶ演奏者も日本外からも一定数おり、その音色傾向を活かした選択がされていると考えられます。

続いては、演奏者の皆様が選ばれた課題曲についての比較を見てみましょう!

【比較②】参加者が選んだ課題曲を徹底比較!

予備予選の課題曲は、以下の中から選択して計5曲演奏します。

  • エチュードから2曲(指定された選択肢の中から=AグループとBグループからそれぞれ選択)
  • ノクターンなど歌う作品から1曲(指定された選択肢の中から)
  • スケルツォ4曲のうちから1曲
  • マズルカから1曲(指定された選択肢の中から)

それぞれの選択肢で、どの曲が多く演奏されたのか、そしてそこから見て取れる傾向などをみていきましょう!

エチュード Aグループ

エチュードAグループで最も多く選ばれたのは、ヘ長調 Op.10-837名が選択しました!

この曲は華やかでリズミカルな性格と、指さばきの明確さが求められる内容で、技巧だけでなく音楽性もしっかりアピールできる点が人気の理由と考えられます。

次いで人気が高かったのは、嬰ハ短調 Op.10-4(30名)変ト長調 Op.10-5「黒鍵」(28名)

Op.10-4は高速で繊細な指運びが求められる難曲で、技術力の高さを印象づけるにはうってつけの作品です!

「黒鍵」は右手の軽やかなタッチが問われる曲で、明快で華やかな響きが映える、且つ難易度としては低めなので、他の課題曲とのバランスを見て選ばれた方が多いのではないかと個人的には思います。

全てが難易度が高いもので並べてしまうと、スタミナの配分も難しいですからね;;

その次に続くのが、イ短調 Op.25-11「木枯らし」(27名)

この曲も非常に技巧的で、ドラマティックな展開が聴き手の印象に残りやすいため、演奏効果の高い一曲ですよね。

やや少数派となったのは、ハ長調 Op.10-1(25名)ハ短調 Op.10-12「革命」(15名)

Op.10-1は跳躍や音の拡がりが美しい曲ですが、タッチや音色のコントロールが難しく、ホールでの響かせ方にも繊細さが求められます。

「革命」は知名度が高く他のエチュードに比べ難易度が優しく印象的な曲ではあるものの、オーソドックスすぎる点や演出過多になりやすい難しさもあり、予備予選という場面では選ばれにくかったのかもしれませんね。

「見せ場を作りやすく、技巧と音楽性をバランス良く示せる曲」が、支持される傾向が強いようです。
特にOp.10-8のような“軽快で明るい”性格の曲に人気が集まっているのは、初見の審査でも印象に残りやすいという意図があるのかもしれません♪

エチュード Bグループ

Bグループで最も人気を集めたのは、変イ長調 Op.10-10(40名)

こちらはAグループと比べて、差が結構ありますよね。

この曲は滑らかで歌うような旋律と、左手のリズム感ある伴奏が印象的で、技巧だけでなく音楽性も豊かに表現できる一曲です。

派手すぎず、けれど聴き応えのある構成が、予備予選での選曲として好まれた要因かなと思います。

過去の2015年のショパコン1位に輝いた、チョ・ソンジンさんが1次予選で演奏されてましたがとっても素敵な演奏でした^^

次いで選ばれたのが、ホ短調 Op.25-5(35名)

不安定なリズムと独特の表情が特徴のこの曲は、表現の引き出しを多く求められる一方で、内面的な深さも示せるため、演奏者の個性を打ち出すには効果的な選択と言えるのではないでしょうか。

そのほか、嬰ト短調 Op.25-6(22名)イ短調 Op.25-4(20名)ロ短調 Op.25-10(20名)といった中難度〜高難度の技巧系作品も一定の人気を集めました。

特にOp.25-6は両手で連打される三度の処理が極めて難しく、高度な技術を披露したい参加者に選ばれたと考えられますね。

一方で、選択数が一桁台にとどまったのは、イ短調 Op.10-2(8名)変ホ長調 Op.10-11(8名)ハ長調 Op.10-7(9名)の3曲。

Op.10-2は地獄の半音階なので(笑)、非常に高い運動能力が求められるため、確実に弾きこなせる自信がないと避けられる傾向にあるのかもしれません。

Op.10-11やOp.10-7も、繊細なタッチと音色のコントロールが必要で、やや“通好み”の選曲とも言えるのではないでしょうか。

Aグループと同様、「演奏効果が高く、個性や音楽性が伝わりやすい曲」に人気が集中した印象です。
変イ長調 Op.10-10やホ短調 Op.25-5のように“技巧と音楽的な流れの両立”ができる作品が、特に支持されたといえるでしょう♪

ノクターンなど歌う作品

このグループでは、ノクターン第13番 ハ短調 Op.48-1(33名)第17番 ロ長調 Op.62-1(27名)が特に人気を集めました。

いずれも演奏時間が長く、構成の明確さやドラマ性、情感の深さを備えており、予備予選において“音楽性をじっくり伝えたい”という意図を持つ参加者から選ばれたと見られます。

また、第8番 変ニ長調 Op.27-2(26名)第7番 嬰ハ短調 Op.27-1(16名)も高い選曲数を記録!

前者はしなやかな旋律と豊かな内声処理、後者は内省的で深みのある世界観が求められる作品で、どちらもノクターンというジャンルの魅力が端的に表れていますので、選ばれやすいのかなと思います♪

一方で、「別れの曲」Op.10-3(5名)Op.10-6(2名)など、エチュードの中から歌うタイプの作品を選んだ参加者は少数派。

一般的な知名度が高い一方で、演奏解釈が固定的に聴かれやすい面があり、自由度を持たせにくいことが選曲を避ける一因になった可能性もありますよね。

全体としては、ノクターンの中でも規模の大きい後期作品が人気を集めた印象で、深い表現力や音色の変化を通じて個性を伝えることに重きを置いた参加者が多かったと考えられます。

単に美しく歌うだけでなく、構成力や音楽的な深みを示せる曲が好まれたことがうかがえますね。
ノクターンの中でも後期作品の人気が高かった点は、予備予選であっても高度な音楽性と表現力が求められているという印象を強く与える結果となりました♪

スケルツォ

スケルツォのは、今回の予備予選で最も選ばれたのは、第4番 ホ長調 Op.54(51名)でしたね。

4曲の中では最も後期に書かれたこの作品は、スケルツォの傑作で洗練された構成とドラマティックな展開が魅力。

繊細さと大胆さのバランスが絶妙で、音楽的完成度が高いため、表現力に自信のある参加者に選ばれやすかったと考えられます♪

次いで多かったのが、第2番 変ロ短調 Op.31(47名)

スケルツォの中でも特に有名で、重厚な響きと切迫感のある展開が印象的なこの曲は、迫力のある演奏で聴衆を引き込むことができるため、予備予選という限られた時間内でインパクトを残すには効果的な一曲だったかと思います。

第3番 嬰ハ短調 Op.39(42名)も根強い人気を見せました。

劇的な構成と技巧的な要素を併せ持つこの作品は、演奏の難易度は高いものの、華やかさと深みのある表現が可能で、音楽的な説得力を求められる場にふさわしい選択といえるのではないでしょうか。

一方で、最も選ばれた人数が少なかったのは第1番 ロ短調 Op.20(22名)

作品としての魅力は十分にありますし私も大好きな作品なのですが、、インパクトという点では後年の作品に譲る部分があるのかもしれませんね。

スケルツォはどれも高度な技巧と強い表現力を必要とする作品ですが、特に第2番~第4番の人気が集中しているのは、インパクトの強さや構成の豊かさが理由と考えられます。
自分の実力と音楽性を限られた時間で、課題曲5曲の中でもスケルツォではそれを最大限アピールしたいという参加者の意図が感じられますね♪

マズルカ

今回の予備予選で最も多く選ばれたマズルカは、ロ短調 Op.33-4で、なんと32名もの方が演奏しています!

前回のショパコンで第1位になったブルース・リウさんはこの曲を3次予選で演奏されていましたね♪

この作品は抒情性と技巧性のバランスがよく、聴き映えもする人気曲で、コンクールでも頻繁に取り上げられる定番レパートリーです。

次いで人気が高かったのは、イ短調 Op.59-1(25名)と、変ロ短調 Op.24-4(24名)

Op.59-1は嘆きかけるような単旋律からはじまる抒情的な作品で、Op.24-4はやや陰りを帯びた叙情が美しく、内面的な表現が得意なピアニストに好まれる傾向がありますね。

また、嬰へ短調 Op.59-3(16名)や、嬰ハ短調 Op.50-3(14名)など、技巧的にも難易度の高い作品も比較的多く選ばれており、演奏者の技術アピールや個性表現の意図がうかがえます。

一方で、選曲が少なかったのは、嬰ハ短調 Op.41-4(3名)ト長調 Op.50-1(3名)など。

0p.41-4などは個人的に好きなので少し意外でしたが、面白い結果となりましたね♪

今回の傾向からは、「構成が明快で表現力を示しやすく、かつ聴衆への訴求力もある曲」が多く選ばれていることがわかります。
それぞれの演奏者が、自身の強みを引き出せる曲を慎重に選んでいる様子がうかがえますね。

【比較③】本大会(一次予選)進出者の国籍の比較!

次の項目では、「国籍」に注目してみました!

予備予選を通過した方々の傾向、そして予備予選免除の出場者も含めた全体像を、簡単な集計とともに見ていきます。

国際コンクールらしい多彩な顔ぶれ、そしてますます存在感を増すアジア勢の勢いなど、興味深い点がいろいろと見えてきましたよ♪

一次予選出場者の国籍分布(予備予選免除者を除く)

まずは、今回の予備予選で演奏をし、審査の末通過を果たし、10月からの本大会・一次予選に進むことが決まった方々の国籍の割合を見ていきましょう♪

中国だけで全体の4割を超えており、圧倒的な多さ!(分母の数が多いとはいえ、ものすごい差です・・・。)

日本も9人と健闘しており、これに台湾や韓国、マレーシアを加えると、アジア勢だけで全体の7割近くを占めていました。

ここ数年の傾向として、アジアの存在感が年々強まっている印象はありましたが、今回もその流れがはっきりと数字に現れていますね・・・。

予備予選には、他にもスイス、オーストリア、セルビア、ブラジルなど様々な国からも出場されていましたが惜しくも本大会に進むことはできませんでした。

一次予選出場者の国籍分布(予備予選免除者を含む)

10月から始まる本大会(一次予選)に出場される全員の国籍をまとめてみました。

こちらは、予備予選を経て選ばれた方々に加えて、予備予選を免除されている参加者も含めたデータです。

総数は85人です。

全体の約3分の1を占める中国勢の多さがまず目を引きますね!

次いで日本と開催国ポーランドが二桁にのり、それぞれ12人、11人。

ポーランド勢は、予備予選免除者が7人と非常に多かったので、このような形になっています♪

これまでのショパン国際ピアノコンクールと比べても、日本勢の厚さは際立っており、アジアからの注目度の高さがうかがえます♪

少数ながら欧米諸国からもまんべんなく参加があり、特にカナダやアメリカ、イタリアなどは過去にも実力者を多く輩出している国々です。

アガサ

こうして見ると、出場者の顔ぶれは実に多彩で、改めて世界規模のコンクールであることを感じさせられますね♪
どんな演奏が飛び出すのか、本大会がますます楽しみです!

まとめ

今回は、ショパンコンクール予備予選のピアノメーカーと課題曲、そして演奏者の国籍について、色々と比較してみましたがいかがでしたか^^?

スタインウェイとヤマハ、それぞれの個性をどう活かすか、演奏者の音へのこだわりが見えるピアノ選び。

そして課題曲では、テクニックだけでなく音楽性や表現力をアピールできる作品が数多く選ばれており、どのデータからも参加者の真剣な選曲意図が感じられましたよね。

演奏者の国籍も、アジア勢が多いものの色の濃いヨーロッパ勢の演奏も期待大です!

予備予選といえど、すでにレベルの高い音楽が求められているという現実にも改めて気づかされる内容でした!

10月からの本大会(1次予選)も、ますます楽しみになってきました〜♪(まだかなり先ですが。笑)

アガサ

またこちらのブログでも感想や今回のような分析も行っていきたいと思っていますので、ご興味のある方はまたぜひのぞきに来てくださると嬉しいです^^

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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