【9日目感想】ショパン国際ピアノコンクール2025【予備予選】

アガサ

モインモイン!みなさんこんにちは♪
ピアノ大好き主婦で、管理人のアガサです^^

ショパン国際ピアノコンクールの予備予選、9日目(5月1日開催)が終了しました。

4月29日 夜の部2人目のYuhang Wangさん(中国)が演奏を中断していたのですが、この5月1日に再出演されていましたね。

ということで今日も、どんどん感想を綴っていきます!

前回(予備予選8日目)の感想は以下のリンクよりご覧ください^^

ご覧いただいている皆さんも、配信をご覧いただきながらご自身の感想と照らし合わせながら読んでいただくとまた違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。

ぜひ、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです^^

ショパン国際ピアノコンクール スケジュール

予備予選:2025年4月23日(水)〜2025年5月4日(日)
予備予選通過者発表:5月6日(火)17時30分(現地10時30分)配信あり
開会記念コンサート:10月2日(木)
1次予選:10月3日(金)〜10月7日(火)
2次予選:10月9日(木)〜10月12日(日)
3次予選:10月14日(火)〜10月16日(木)
本選:10月18日(土)〜10月20日(月)

上記は全て2025年4月23日時点での情報です。
変更となる場合がありますので必ず以下の公式サイトをご参照ください。

目次

9日目 昼の部 感想

Chopin Institute

Sung Ho Yoo(韓国)17:00

ニューイングランド音楽院でダン・タイ・ソンの下で修士号を取得。2018年 ジュネーヴ国際音楽コンクール特別賞。2024年 浜松国際ピアノコンクール セミファイナリスト。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • ノクターン第14番 嬰へ短調 Op.48-2
  • エチュード 変ト長調 Op.10-5 「黒鍵」
  • エチュード 変イ長調 Op.10-10
  • マズルカ 嬰へ短調 Op.59-3
  • スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20

5月下旬から開催されるヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール本大会に、山﨑亮汰さんや重森光太郎さんとともに出場される予定とのことで、要注目の演奏者です!

全体を通して安定感と集中力の高さが感じられました。

中でもスケルツォ第1番は圧巻で、ダイナミックな展開と緊張感ある構成力で、圧倒的なパワーと表現力を見せつけてくれましたね。

次から次へと蠢くように動く波のような音色が印象的で、音の流れにぐいぐいと引き込まれました。

聴き手を一気に作品の世界に引き込むような、説得力のある演奏で素晴らしかったです。

Jeong Hyun Yoon(韓国)17:30

2016年 第4回香港国際ピアノコンクール第2位。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード ハ長調 Op.10-1
  • エチュード イ短調 Op.10-2
  • エチュード 変ホ短調 Op.10-6
  • スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
  • マズルカ ロ短調 Op.33-4

エチュードを焦ることなく、ご自身のテンポを大切にしながら丁寧に弾き進めていたのが印象的でした。

終始落ち着いた佇まいで、音楽の緩急もしっかりと伝わってきて、とても誠実で好感の持てる演奏だったと思います。

Bartłomiej Kokot(ポーランド)18:00

ヴォルフラム・シュミット、ベアタ・ビリンスカに師事。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード 変ト長調 Op.10-5 「黒鍵」
  • エチュード ホ短調 Op.25-5
  • ノクターン第7番 嬰ハ短調 Op.27-1
  • スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
  • マズルカ ロ長調 Op.56-1

エチュードでは、ふとした瞬間に見せるリズムの揺れや音の処理に個性が感じられ、面白いなと感じましたね。

随所にセンスが光っていて良かったと思います。

マズルカは特に美しく、丁寧に歌い上げられていて印象に残りました。

Yichen Yu(中国)18:30

2023年 ヤング・ヴィルトゥオーゾ国際コンクール(ソフィア)第1位。深圳国際ピアノ協奏曲コンクール第3位。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード ヘ長調 Op.10-8
  • エチュード 変イ長調 Op.10-10
  • エチュード 嬰ハ短調 Op.25-7
  • スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
  • マズルカ 嬰ハ短調 Op.50-3

テクニックの高さは申し分なく、一音一音が非常に丁寧で完成度の高い演奏でした。

ただ、もう少し内面から湧き上がるような感情の深みや、聴き手の心に強く残るような印象が加わると、さらに魅力が増すのではないかと感じました。

あと少し、何か一つ突き抜ける要素があると、より強く心を掴まれるような気がします。

Yuewen Yu(中国)19:30

2020年 アーヘンMozARTe国際ピアノコンクール第3位。2022年 オルベテッロ国際ピアノコンクール第1位。

使用ピアノ:YAMAHA

  • エチュード ハ長調 Op.10-1
  • エチュード イ短調 Op.25-4
  • ノクターン第7番 嬰ハ短調 Op.27-1
  • スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54
  • マズルカ 変ロ短調 Op.24-4

誠実さがにじみ出るような演奏で、真っ直ぐに心へ届いてくる音でした。

ひとつひとつの音に丁寧に向き合っているのが伝わってきて、全体としても非常にバランスよく、美しくまとめられていたと思います。

自然な流れの中にも、しっかりとした軸が感じられる演奏でした。

Andrey Zenin(個人中立)20:00

2018年 浜松国際ピアノコンクール セミファイナリスト。2019年 Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール セミファイナリスト。前回も出場。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード 嬰ハ短調 Op.25-7
  • エチュード 変ト長調 Op.10-5 「黒鍵」
  • エチュード イ短調 Op.25-4
  • スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
  • マズルカ ロ長調 Op.56-1

独特のリズム感でテンポよく進んでいく音楽が印象的。

音色には深みがあり、ひとつひとつの音が丁寧に響いており、特にエチュード Op.25-7では、その豊かな音色と感情の込め方に心を打たれました。

ご自身の世界観をしっかりと持ち、それを迷いなく表現されていたように感じます。

スケルツォ2番のコーダは独自の世界観すぎてビックリしましたが、審査員の方はどう見るのでしょうか・・・。笑

Yuhang Wang(中国)20:30 ※4月29日から振替で再出演

2022年 ニューヨーク国際ピアノコンクール アンサンブル部門第1位。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード ハ長調 Op.10-1
  • エチュード イ短調 Op.10-2
  • ノクターン第8番 変ニ長調 Op.27-2
  • スケルツォ第4番 ホ長調 Op.54
  • マズルカ ロ長調 Op.56-1

4月29日、途中で演奏を断念されたYuhang Wangさんが再出演。

先日と演奏曲目は同じでしたが、演奏の順番を変えていました。

ところが・・・、また4曲目のスケルツォの最中で演奏中断となってしまいました。

中断したあと深々とお辞儀をされ英語で「昨日に引き続き体調が悪く、演奏を最後まで続けることができませんでしたが、機会を与えてくださりありがとうございました。」と言った内容をお話されました。

会場からの拍手が本当に暖かかったですね。

配信YouTubeのコメント欄にもご本人と思われるアカウントから、以下のようなコメントがありました。

I’m sorry I couldn’t give everyone the performance I truly wanted to share. Still, I’m deeply thankful to the competition director and the jury for giving me another chance to be on this beautiful stage. Thank you to this stage, and to all the wonderful people in the audience—both here and online. Your warmth and support meant so much to me. In a difficult moment, your kindness gave me strength. Thank you again, from the bottom of my heart. Wishing all the contestants the best of luck and joy in their music.❤️

本当に伝えたかったパフォーマンスを皆さんにお届けできなくてごめんなさい。それでも、私にもう一度この美しい舞台に立つチャンスを与えてくれたコンペティションディレクターと審査員に深く感謝しています。 このステージ、そしてこことオンラインの両方で聴衆の素晴らしい人々に感謝します。あなたの温かさとサポートは私にとってとても意味がありました。大変なとき、あなたの優しさが私に力を与えてくれました。 改めて、心より感謝申し上げます。すべての出場者の幸運と音楽の喜びを祈っています。❤️

ショパン国際ピアノコンクール公式YouTubeChopin Instituteのコメント欄 Yuhang Wangより

たくさんの方々からこのコメントに応援のメッセージが寄せられています。

想像できないほどのプレッシャーや責任に押しつぶされそうになりながらの再チャレンジだったと思います。

Yuhang Wangさんの、諦めずに舞台で演奏し続けた勇気と精神力、そして素晴らしい演奏に惜しみない拍手を送りたいです。

彼の繊細で豊かな音楽性を持った素敵な演奏は、間違いなく全世界に人々に届きました。

これからのご活躍も祈っています!I wish you all the best in the future♪

9日目 夜の部 感想

Chopin Institute

さて、続いては夜の部の感想に行きます!

Jacky Xiaoyu Zhang(イギリス)0:00

2020年 UKピアノオープン国際コンクール第1位。2022年 アルカン国際ピアノコンクール最優秀賞受賞。2024年 BBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤー・コンテストファイナリスト。

使用ピアノ:YAMAHA

  • エチュード ハ長調 Op.10-1
  • エチュード イ短調 Op.25-4
  • ノクターン第17番 ロ長調 Op.62-1
  • スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
  • マズルカ ロ短調 Op.33-4

1曲目のノクターンから、抒情性に満ちた心に沁みる演奏で、すぐに引き込まれました。

「うま・・・・!!」と1音目を聞いて思わず呟いてしまいました。(笑)

予選も終盤に差しかかっている中で、まだこんな演奏に出会えるのかと驚かされました。

選ばれた5曲も、それぞれ違った側面を見せる構成で、ご自身の音楽的多面性がよく伝わってきました。

指先の繊細なコントロール力は圧巻で、柔らかな響きから内に深く沈み込むような音色まで、幅広い表現を自在に操っているようでした。

そしてこれでまだ17歳というのが信じられません;; 末恐ろしい才能!

コンクールの審査というより、もはや彼のリサイタルでは?というほどの圧巻の演奏だったと思います。

1次予選での彼の演奏もとても楽しみです!(パス確定。笑)

Junzhe Zhang(中国)0:30

2019年 若いピアニストのための北京国際ショパンコンクール ジュニア部門 第6位。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード 嬰ハ短調 Op.10-4
  • エチュード ホ短調 Op.25-5
  • エチュード 嬰ハ短調 Op.25-7
  • スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
  • マズルカ 変ロ短調 Op.24-4

エチュード25-7は、音が硬くなったり、機械的になりやすい作品ですが、しっかりと歌心が感じられ、音楽的な表現に富んだ素晴らしい演奏だったと思います。

高い技術と音楽性を両立させた、見応え・聴き応えのあるステージでした。

珍しくスケルツォ1番が続いたため、自然と聴き比べのような形になりましたね・・・。(1番を選ぶ演奏者、実はそこまで多くないんですよね。)

演奏者ごとにアプローチや解釈も異なるので、同じ曲でも違う良さを感じられて、これも予備予選のいいところです♪

しかも、4曲目のスケルツォ終わりでまだ5曲目のマズルカが残っているにも関わらず拍手が起こっていましたね。

珍しい現象です。(単純に5曲目にスケルツォを弾く方が多いので、観客が間違えた可能性はありますが・・・。)

どちらにしても、全体を通して非常に完成度が高く素晴らしかったと思います!

Nathaniel Zhang(アメリカ)1:00

8歳でカーネギー・ホールに出演。ヒルトン・ヘッド国際ピアノコンクール、ナッシュビル国際ショパンピアノコンクールで上位入賞。2023年 全米ヤングアーツ・コンクールのファイナリスト。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード イ短調 Op.25-11 「木枯らし」
  • エチュード 嬰ト短調 Op.25-6
  • ノクターン第7番 嬰ハ短調 Op.27-1
  • スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
  • マズルカ イ短調 Op.59-1

アメリカのナショナル・ショパンコンクールの第3位受賞者なので、今大会の書類・動画選考が免除され、直接、この予備予選に参加された方です。

こちらもまた非常に印象的な素晴らしい演奏で、「こんなに凄い方が次々と現れるの?」と、アガサ戸惑い。

特にエチュードOp.25-6が他の演奏者とは一線を画すユニークさで、個性が際立っていました。

それでいて、ショパンの本質をしっかりと捉えており、独自性と作品理解のバランスが見事だったと思います。

これでまだ18歳とは……世界の底知れなさを改めて実感させられる演奏でした♪

Zhiqiao Zhang(中国)1:30

2023年 ラ・パルマ・ドーロ国際ピアノコンクール第3位。2024年 Rahn Musikpreis für Klavier 第3位。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード 嬰ハ短調 Op.10-4
  • エチュード 嬰ト短調 Op.25-6
  • ノクターン第18番 ホ長調 Op.62-2
  • スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
  • マズルカ ロ短調 Op.33-4

こちらも心地よい、素敵な演奏でした。

ご自身のテンポ感を大切に、無理のない自然な流れで進められていたのが印象的です。

全体を通して落ち着きがあり、安心して聴いていられる演奏だったと思います。

Yuxuan Zhao(中国)2:30

北京国際音楽祭コンクール第2位、2022年 バーミンガム国際ピアノコンクール第3位。2024年 シープドローブ・ピアノコンクール(イギリス)第3位。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード ヘ長調 Op.10-8
  • エチュード 嬰ト短調 Op.25-6
  • ノクターン第8番 変ニ長調 Op.27-2
  • スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
  • マズルカ 嬰へ短調 Op.59-3

ご自身の感性を大切にされつつ、丁寧に取り組まれている様子が伝わってきました。

ただ、本日は個性の際立つ演奏が多かったこともあり、決して悪い演奏ではないと思うのですが、その中で少し印象が薄れてしまった感は否めないかもしれません;;

それでも、堅実で丁寧な演奏だったと思います!

Yonghuan Zhong(中国)3:00

2022年 チェルニー=ステファンスカ国際ピアノコンクール第2位。2023年 ショパン国際ピリオド楽器コンクール第3位。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード 嬰ハ短調 Op.10-4
  • エチュード ロ短調 Op.25-10
  • ノクターン第12番 ト長調 Op.37-2
  • スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
  • マズルカ 変ロ短調 Op.24-4

とても滑らかで聴きやすく、素敵な演奏だったと思います。

にしても、なんでみなさんこんな難曲をあんなにサラッと弾けちゃうんでしょうかね・・・。

ショパコン予備予選の時点で一般人からするともう次元が違いすぎて、みなさん「すごい」としか言えません。(感想ブログの意味。笑)

Hanyuan Zhu(中国)3:30

2020年 エトリンゲン国際ピアノコンクール第3位。2023年 アントン・ルビンシテイン国際コンクール(ドイツ)第2位。

使用ピアノ:Steinway & Sons

  • エチュード ホ長調 Op.10-3 「別れの曲」
  • エチュード ヘ長調 Op.10-8
  • エチュード 変ホ長調 Op.10-11
  • マズルカ 変ロ短調 Op.24-4
  • スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31

率直な感想として、演奏そのものはしっかりされていたと思うのですが、表情の見せ方にやや演出感が強く感じられてしまい、個人的には少し入り込めませんでした。

もちろんそれがこの方の表現スタイルなのかもしれませんが・・・。

あくまで好みの問題かと思いますが、私は演奏を聴くうえでどうしても気になる要素になってしまいました。

自分の演奏をただ聞かせたいだけに見えてしまうというか、「ショパンコンクールの演奏」と考えると、どうなんだろうと個人的に思ってしまいました。

ただ、演奏後にブラボーの声も多数上がっていたので、会場の方々には演奏の本質が伝わったのかと思います!

まとめ

9日目は、14名の方々が演奏されました。

素晴らしい演奏者に、まずは盛大な拍手を♪

9日目でアガサが気になった方々は、以下の4名です!

  • Sung Ho Yoo(韓国)
  • Jacky Xiaoyu Zhang(イギリス)
  • Junzhe Zhang(中国)
  • Nathaniel Zhang(アメリカ)

さて、次は10日目の感想を記録していきます!

残り3日間!あっという間ですね・・・;;

皆さんも一緒に、引き続き予備予選を楽しみましょう♪

目次